一方で「チームメンバーや直属の上司、会社の価値観とのつながりを感じる」と答えた割合は、完全なオフィス勤務の人では35%だった。柔軟な勤務形態で働く労働者がそう回答した割合は、それと同等か少し多いという結果だった。
「企業幹部は、従業員を維持したければ妥協が必要であることに気づき始めている」とリスターは話す。
「柔軟な勤務形態に強く反対するイーロン・マスクなどですらそうだ。景気低迷が差し迫り、経費削減の圧力がかかっている現在は、リモートワークにすればオフィススペースを大幅に削減できる可能性がある」
企業向け人工知能(AI)技術会社SymphonyAI(シンフォニーAI )の最高人材活用責任者(CPO)ジェニファー・トレズパッチは、従業員がオフィスで勤務するときは「オフィス勤務で行うことを計画していた仕事に関して」確実に生産的になれるような方法を模索していると話す。
たとえば「現在出社していません」という、よくある通知だけではなく「オフィス勤務中」という通知を出す習慣を定着させているという。
「『いまは出社していないので、対応はできません』という通知を表示する習慣はよく知られているが、当社では、『オフィス勤務中ですが、対応はできません』という通知を定着させたい」とトレズパッチは話す。
フューチャー・フォーラムの調査では、全体の4分の3が「オフィスについては、同僚やクライアントと共同で作業したり、対面ミーティングを円滑に進めたり、仲間意識を育んだりするために活用している」と回答した。
一方「オフィスは、静かな環境で仕事に集中するために活用している」と回答した人は15%だった。
リスターによれば、ハイブリッド勤務の企業は、完全リモートや完全オフィス勤務の企業と比べて、従業員エンゲージメントが常に高いという。
「調査のたびに、そうした結果が出ている」とリスターは話す。「従業員たちは、『コロナ禍のあいだに企業文化が改善したのは、自分は話を聞いてもらえている、信頼されていると感じ、信頼感が高まったからだ』というだろう。ただし、2021年以降はそうした信頼感が薄れ始めている」
フューチャー・フォーラムのスブラマニアンによると、企業は現在、会社の文化を見直したり、ハイブリッドな勤務形態で互いにつながり合う新たな方法に力を入れたりしているという。
スブラマニアンはこう述べる。「最もうまくいっている企業幹部は、自分たちが望む状態は何かという観点から全体的枠組みを決めたら、あとは、従業員に任せている人たちだ」
(forbes.com 原文)