北米

2023.02.23

米ポーツマスの店舗やユダヤ教会堂にかぎ十字の落書き

Getty Images

インターネット上で反ユダヤ的なヘイトスピーチが増加する中、ニューハンプシャー州当局は、21日未明にポーツマスで反ユダヤ主義的な器物損壊事件が起き、捜査を開始したと発表した。

ニューハンプシャー州司法省公民権課とポーツマス警察は、ポーツマス市中心部でシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)を含む少なくとも10カ所の建造物に、赤いスプレーでかぎ十字などが落書きされた事件を捜査している。地元ラジオ局の報道によると、店舗が掲げていた「あなたは愛されている」とのメッセージの上に赤いスプレーで×印が描かれる被害もあったという。

州司法長官室は、事件が起きたのは午前2時半ごろだったとし「人種的・宗教的不寛容を動機とした憎悪に満ちた脅迫的犯罪行為」を非難する声明を出した。クリス・スヌヌ州知事(共和党)も「憎悪、偏狭、反ユダヤ主義は許されない」とツイートし、事件を非難した。

1週間前には、ロサンゼルスのユダヤ人街にあるシナゴーグの外で2件の銃撃事件があり、2人が負傷、容疑者1人が逮捕されている。米国ではこのところネット上や非主流メディアで反ユダヤ的な言論が増えており、カマラ・ハリス副大統領の夫ダグ・エムホフは昨年末に「憎悪の流行」と表現した。最も物議を醸したのは、ラッパーのカニエ・ウェストが昨年11月と12月にかぎ十字の画像を投稿し「ユダヤ人にデスコン3を行う」とツイートした後、ツイッターとインスタグラムからアカウントを凍結され、高額のブランド提携を打ち切られた騒動だ。NBAのスター選手カイリー・アービングも昨年11月、反ユダヤ主義的と批判されているドキュメンタリー映画へのリンクを投稿し、所属チームのブルックリン・ネッツから出場停止処分を受けた。その後アービングはこの投稿について謝罪している。

反ユダヤ主義の監視団体Anti-Defamation League(名誉毀損防止同盟)は21日、ポーツマスの事件以外にも、バーモント大学のトイレにユダヤ人に対する暴力を扇動する中傷ビラが貼られ、マサチューセッツ州の高校ではユダヤ人生徒の車にかぎ十字が落書きされ、オレゴン州ユージーンでも反ユダヤ主義的なビラがまかれたと報告した。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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