1929年6月12日、ドイツ・フランクフルトで生まれたアンネは銀行家の父オットーと、資産家の娘である母エーディト、姉のマルゴットとともに幸せな暮らしを送っていました。しかし、アドルフ・ヒトラー率いるナチスが勢力を拡大しユダヤ人迫害を進めた影響で、一家でオランダ・アムステルダムへ移住することになります。
アンネはオランダ語を覚え、学校でも友達をつくり、すぐに新しい生活に馴染みました。ところが、1939年9月、ナチス軍がポーランドへ攻め入り、第二次世界大戦が始まってしまうのです。アンネが10歳の頃でした。
ナチスは1940年5月にはオランダへも攻撃を開始。オランダがすぐに降伏すると、ナチスは徐々にユダヤ人が暮らしにくくなる法律や条例を出していきました。一家はナチスから逃れるために非ユダヤ人の知人の協力を得て、隠れ家に潜伏する決心をします。
隠れ家に移動する前、13歳の誕生日に家族から日記をプレゼントされたアンネは、身を隠していた2年の間、隠れ家でのできごとや、自分の気持ちや考えを日記にしたためました。
ところが、ついに1944年8月4日、アンネと家族、一緒に生活していた住人は潜伏しているのを見つけられてしまい、収容所へ連行されることに。アンネは1945年にベルゲン・ベルセン強制収容所で15歳にして病気のため亡くなりました。
家族で唯一アンネの父、オットーだけが収容所から解放されて生き延びました。そして奇跡的に保管されていたアンネの日記に感銘を受け、1947年6月25日に書籍化。アンネの日記は当時を知る貴重な資料として話題を呼び70の国の言語に翻訳され、世界中の人々に読まれるベストセラーとなりました。
実は、アンネの日記は原文がそのまま書籍となったわけではなく、父がカットした部分があります。日記には生活のことだけではなく、母親への愚痴や恋の話など、思春期の女の子らしい感情も書き記されていました。
父親としては娘の赤裸々な感情が世間の目に触れるのは気が引けたのでしょう。父親ならではの娘を思いやる気持ちがそこにはありました。
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