年に1回公表されている同ランキングは、住民1人当たりのヘイトクライム（憎悪犯罪）や殺人事件の発生率などに加え、気象災害、失業率、道路の整備状況、ワクチン接種率などの安全基準も考慮して作成された。基となったデータは、米国勢調査局、米労働統計局、米連邦捜査局（FBI）、トランスユニオンなどから集められた。
最も安全な都市
米国で最も安全な都市は、メリーランド州コロンビアだった。同市は首都ワシントンとボルティモアの間に位置する計画都市で、安全性の高さに加え、キタマクンディ湖などの美しい自然で知られるほか、食・芸術の中心地やテクノロジーとイノベーションに注力する企業の集まるクリエイティブ都市としても存在感を高めている。
2位に入ったのは、ニューハンプシャー州ナシュア。ナシュア川とメリマック川に接する自然豊かで歴史ある都市だ。ウォレットハブのアナリスト、ジル・ゴンザレスは同市が上位に入った理由として、テロや起きていないことや、殺人・暴行・窃盗事件の少なさ、歩行者が死亡する交通事故の少なさを挙げている。また、自然災害も少なく、経済面での安全性も高かったという。
最も危険な都市
ゴンザレスは「一部の都市は、新型コロナウイルスの流行やデモ、暴動による影響が他よりも特に大きかった」と説明している。「2020年に始まった犯罪発生率の上昇は今も続いており、中でも殺人事件の増加が顕著だ。カンザスシティー、デトロイト、セントルイスでの上昇率は特に大きい」
米国で最も危険な都市は、ミズーリ州セントルイスだった。同市は、他の組織がまとめた同様のランキングでも最も危険な都市に選ばれている。「セントルイスが最も安全でない理由は、住民1人当たりの殺人・暴行・窃盗・性犯罪の件数や、薬物の過剰摂取による死者が多いことにある。さらに、交通事故の死亡者も多い」（ゴンザレス）
さらに、経済面の安全性も低かった。「セントルイスは住民1人当りの自己破産申告件数が国内最高水準にあり、アンダーウォーター（ローン残高が物件価格より高い状態）の住宅ローンが18％近くと、深刻な状況になっている」（ゴンザレス）
