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2023.02.21

SNSは投稿の「レコメンド」の責任を負うか、米最高裁が判断へ

Photo by Olly Curtis/Future via Getty Images

米国の最高裁は、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)などの主要なSNSプラットフォームが危険な投稿に対してどの程度の責任を負うかを検討している。さらに、これらのプラットフォームの運営元が、ユーザーが投稿したコンテンツに関する法的責任を免れるための根拠となる通信品位法230条の適用対象に関する判断を下そうとしている。

最高裁は2月20日、2015年のパリ同時多発テロ事件の犠牲者の家族が、Google(グーグル)を相手取って起こした裁判の口頭弁論を開始する。この裁判で家族らは、過激派組織「イスラム国(IS)」への参加を促すユーチューブ動画をレコメンドしたグーグルに、法的責任があると主張している

最高裁はまた、2017年にトルコで発生したテロ攻撃に関連して、ツイッターを相手取って起こされた同様の訴訟についての口頭弁論を22日に開催する。

グーグルの裁判では、1996年の通信品位法230条に基づき、同社にユーチューブのレコメンドの責任を問えるかどうかが争点となる。230条は、企業がプラットフォーム上に掲載された第三者が発信する情報について責任を負わないことを定めている。

Meta(メタ)やツイッター、Microsoft(マイクロソフト)などの企業は、グーグルを支持する意見書を提出し、ユーチューブに責任があるとする判決が出た場合、現代のインターネットの基本を脅かす悲惨な結果につながると主張している。

米国自由人権協会(ACLU)やナイト財団などの表現の自由を擁護する団体も、230条による保護をテクノロジー企業が受けられなくなれば、言論の自由が阻害されると警告している。グーグルは、レコメンドの廃止を強いられた場合に、インターネットが「無秩序な混乱と訴訟の地雷原」になりかねないと主張している。

一方、ツイッターを相手取った訴訟は、2017年にイスタンブールのナイトクラブで起きたISによる襲撃事件で死亡した男性の遺族が起こしたもので、230条ではなく、反テロ法に基づき、ソーシャルメディア企業の責任を問うものだ。遺族は、ツイッターとグーグル、メタがISに支援を行い「プロパガンダを拡散する格好の道具」になったと主張している。
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編集=上田裕資

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