宇宙

2023.02.19 13:00

太陽の一部が「剥がれ落ちた」? プロミネンスが渦巻く

2023年2月2日、NASAの太陽観測衛星が太陽の北極でプロミネンスを発見した(NASA)

2023年2月2日、NASAの太陽観測衛星が太陽の北極でプロミネンスを発見した(NASA)

先日、インターネット上では「太陽の一部が剥がれ落ちた」「恐ろしい渦巻き」さらには「ああ、太陽が壊れた」といったばかばかしい見出しが並び、すべてはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が捉えたという主張まであった。天文学界が愕然としていると書いている記事も複数ある。

幸いなことに、いずれも真実ではない。太陽のどの部分も剥がれ落ちていないし、JWSTが太陽に向けられたことはなく、もちろん天文学者たちは困惑などしていない。

ただ、太陽でちょっとクールなことが起きたのはたしかだ。

ではなぜ、誤った見出しが横行しているのか?

多くの記事の最初の情報源は、天文学者で宇宙気象予報士のタミサ・スコフ博士による2月2日のツイートだ。「極渦(きょくうず)の話をしましょう。北側のプロミネンス(紅炎)がフィラメント本体から剥がれ落ち、太陽の北極を取り巻く巨大な極渦の中をぐるぐる回っています。ここでは太陽の55度以北の大気力学を理解することが極めて重要です」と博士は語っている。

ツイートにはNASAの太陽観測衛星Solar Dynamics Observatory(ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー)が捉えた動画も添付されている。

ここから山ほどの誤解とツイートの拡散が始まり、多くのおかしな見出しが生まれた。


実際に起きたことは次のとおりとなる。

太陽で何が起きた?

太陽のありふれた「プロミネンス」が、普段と少し違うことをしているところが発見された。プロミネンスとは、プラズマと呼ばれる帯電したガスのループで、しばしば太陽から噴出する。皆既日食の時には肉眼で見ることが可能だ。
 

皆既日食中の太陽のクローズアップ画像に灼熱のプロミネンスが見える(Getty Images)

2月2日に何が起きたのかといえば、プロミネンスが1つ切り離され(あるいは、スコフ博士が使った残念な表現でいうなら「剥がれ落ち」)、その後、太陽の北極の上でぐるぐると回った。
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翻訳=高橋信夫

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