太陽物理学者でコロラド州ボルダーの国立大気研究センター副所長のスコット・マッキントッシュは、このようなプロミネンスは、同じ緯度55度に11年ごとに現れるとSpace.comに伝えている。
「この渦について多くのメディアが『太陽の一部が剥がれ落ちた』などと引用していますが、大げさな見出しを信じてはいけません」とスコフ博士が自身のブログに書いた。「これはすべてまったく正常なことであり、華麗なる太陽のバレエなのです!」
ソーラー・オービターと「太陽極大期」
科学者はなぜこの事象が起きたのかわかっていない。太陽の北極圏の画像がないからなのだが、もうすぐ手がかりがつかめるかもれない。2025年2月、欧州宇宙機関(ESA)の太陽観測衛星、ソーラー・オービターが太陽の傾斜軌道に入り「高緯度ミッション」を開始して、太陽の北極圏を上から見た画像を初めて撮影する。ソーラー・オービターには、2025年に起きると予測されている「太陽極大期(solar maximum)」を観測するリングサイド席ができることになる。太陽にはおよそ11年の周期があり、その間「太陽極大期」に向けて活動が強くなり「太陽極小期」に向けて活動が弱まっていく。今回の不思議なプロミネンスはその一環だ。
何故JWSTは太陽に向けられないのか?
JWSTは、これまでに作られた最も野心的で複雑な宇宙科学望遠鏡であり、6.5mの巨大な主鏡は、遥か彼方の恒星や銀河の微かな光でも検出することができる。永久に太陽と別方向に向けられているJWSTには、巨大で複雑なサンシールド(日除け)があり、望遠鏡の光学系に一切太陽光が当たることがないようにし、光学系がごくわずかでも熱せられることを防いでいる。もしJWSTが太陽に向けられたなら、光学系は完全に破壊されるだろう。
太陽の極域で起きたこのイベントを見ることができたのは、NASAの太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーであり、2010年以来太陽観測を続けている。
澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。
(forbes.com 原文)