国産メタバースのクラスター、今年は「世界を狙う」

クラスター代表取締役CEOの加藤直人氏


toBとtoC事業のシナジーで発展

──そうしたtoCのソーシャルプラットフォーム事業と、先ほどのtoBのイベント事業は、どのように両立させていますか。

toBの事業は、toCの「cluster」への集客としても機能しています。

僕たちはイベント事業で得た資金をほぼ開発に投入していて、これまでほとんど広告宣伝費を使ってこなかったんです。いずれ予算をかける段階が来ると思いますが、今まで使ったのは唯一昨年9月の東京ゲームショウくらい。

そして法人事業として一般的な、案件単体のアプリやメタバースを制作して納品するといった、いわゆるOEM的な事業はやっていないんです。

イベントも空間制作も全てプラットフォーム内で行い、技術やデータなどもアセットとして蓄積して、ユーザーに広く色々な形で楽しんでもらえるように設計開発をしています。

結果、「cluster」の利用頻度や滞在時間も増え、そしてまた法人案件も増えていく、という循環で、全体が発展していくような運営をイメージしています。
東京ゲームショウ2022|左が東京ゲームショウ会場(幕張メッセ)出展ブースで、右が『cluster』内特設バーチャルブース (c) Cluster, Inc. All Rights Reserved.

東京ゲームショウ2022|左が東京ゲームショウ会場(幕張メッセ)出展ブースで、右が「cluster」内特設バーチャルブース


──クラスターとしては、起業・VRライブ・バーチャルSNSと来てクリエイターエコノミーの確立と、第4の創業期的な感覚なのでしょうか?

ようやく、新たなスタートラインに立ったという感じです。これは業界全体にも言えることだと思います。

そしてスタートアップとして、常に創業期的な考えでいます。新しいマーケット、新しい体験を作っていくわけですから、常に創業当日、デイゼロの気持ちで臨んでいきたいんです。

──スタートラインということですが、どのような段階なのでしょうか。

今はメタバースの第一フェーズだと思っています。

これは動画でも他のサービスでも同じことですが、第一フェーズはクリエイターのコミュニティを作る段階で、ここで熱量を上げられるかどうかが一番始めに重要なことです。

ユーザーの皆さんと一緒に「こんなゲームがあったらいいのに」とか「こんなアバター、世界、体験があったらいいのに」といったメタバースの世界を作って、楽しんでいく。まずはこのコミュニティを作ることです。
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画像= (c) Cluster, Inc. All Rights Reserved. 編集=宇藤智子

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