辞める部下に対し、心がけるべき3つの行動

Getty Images

部下が辞めると聞けば、驚いたり、心が痛んだりするだろう。その部下が、信頼を置いていたチームの主要メンバーであればなおさらだ。しかし、その人が退職することでどれほど痛手を受けようと、上司としては怒りをあらわにするわけにはいかない。「辞めるなんて信じられない」「信頼していたのに」「皆を見捨てるのか」といったセリフは禁物だ。

部下が辞職を固く決心しているのであれば、あとは円満に退社できるよう取り計らうのが上司の役目だ。友好的なかたちで退職すると、部下のなかには会社についての良い記憶が残る。この会社は良い職場で、応援すべき存在であり、他の人に推薦したい会社だと思ってもらえるかもしれない。

良い記憶が残れば、その人が戻ってくる可能性、つまりは「ブーメラン従業員」になる可能性も高くなる。ブーメラン従業員は、さまざまな点で好都合だ。たとえば、復職時のトレーニングが短時間で済むし、会社の風土や価値観もすでに理解している。それに、社外で得た新鮮な視点をもたらしてくれるかもしれない。

辞めた社員は、いずれ顧客となり、大きなビジネスチャンスをもたらしてくれる可能性もある。かつて働いていた会社に対して肯定的なイメージをもっていれば、他の人に推薦しようという気も起きるだろう。社員や顧客となる可能性がある人を紹介してくれる、貴重な存在になってくれるかもしれない。

辞めようとしている従業員が、ブーメラン従業員として戻ってきたり、会社を他の人に推薦したりするようになってほしいなら、3つのことを実践する必要がある。

1つ目は、会社を辞めて新たなチャンスに向かおうとしている従業員を祝福することだ。お祝いの言葉を投げかけるなんて全く気が進まないとしても、絶対すべきだ。

2つ目は、送別会を開いてあげることだ。送別会は、よくある単純な行為に思えるかもしれない。しかし、高く評価していた部下のために送別会を開けば、その人が会社にとって大事な存在であり、あとに残る同僚が残念に思っていると伝えることができる。また、退職する当人にとっては、同僚全員に正式なかたちで別れを告げられる機会にもなる。送別会を開けば、辞める従業員は同僚との絆を感じられるし、職場の温かな雰囲気を強化できるといった利点もある。ただし、シンプルな送別会にすることが重要だ。

また、一度辞めた人が、転職先で大きな歓迎を受けずにショックを受けることがある。誰もが顔見知りで居心地のよかった職場から、知り合いがひとりもいない職場へと移り、孤独を感じるかもしれない。新しい職場の状況と、退職時に開いてもらった送別会との落差に失望し、すぐブーメラン従業員となって舞い戻ってくることも、なきにしもあらずだ。
次ページ > 従業員エンゲージメントは入社後に低下

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

ForbesBrandVoice

人気記事