前回に続いて、Web3最前線で活躍中のステイクテクノロジーズCEOの渡辺創太さんに、アメリカ市場で戦うための海外戦略についてお話を伺いました。
第一話:Web3起業家の渡辺創太が米国で得た、事業成長を生む考え方 #1
第二話:渡辺創太のマネジメント術 19カ国のメンバーをどう評価するか #2
「アメリカは、裸一貫で勝てるマーケットじゃない」
内山:創太くんのプロジェクトは、はたから見ると、順調にグローバル展開しているように思います。海外に進出して、壁はありますか?渡辺:やはり、現地を知らないというだけで、すでにハンデがあるなと感じます。アメリカで育ってきた人間と同じ戦い方をしても、勝てる可能性は限りなく低いと理解しました。
だからこそ、自分たちの「地の利」、つまり日本出身であるという点を活かすべきだと思っています。
海外に進出した起業家って、「日本出身者としての利点を使うのはダサい。アメリカに来たんだから、故郷には頼らず、自分の力で成功するんだ」っていう気概の方が多いんですよ。僕自身もそうでした。でも、アメリカのメンバーが優秀すぎて、裸一貫で勝てるマーケットじゃないと気付かされました。
僕の場合、創業当初からNTTドコモや日本政府との関係が、ある程度構築できていました。迷いもあったんですが「日本の地の利を使うのはダサい。でも、地の利があるとわかっているのに、成功確率を1%でも上げるための選択をしない方がダサい」という結論にたどり着きました。
そういう発想の転換ができたので、今は葛藤することなく、地の利を最大限活かすことに振り切っています。
内山:順調に見えても、グローバルで正面からやっても勝てないと気付かされたというのは、創太くんの後ろに続く若い起業家の人たちに対して、大事なインサイトですね。
具体的に、どうやって地の利を活かそうとしているのか聞かせてください。
渡辺:日本では、Web3領域における税制や法整備が不十分な段階です。そこに対して、知見のある僕が日本政府の議論に参加したり、日本企業のWeb3進出を支援したりしています。
日本企業が国際的に有名なブランドと提携すると、当然アメリカ市場にもインパクトがあるので、そこでレバレッジをかけられると考えています。