一方で、日本という縮小傾向にある市場を取り合うことに、どれだけの意味があるのか。僕らのように、年齢的にリスクを取れる世代はどんどん海外でチャレンジして、成功できる日本人像の形成に貢献した方が、社会的なインパクトはあるでしょうね。
Web2の頃から見ていて思うけど、日本で起業してもグローバルに通用するプロジェクトは作れると思います。日本で起業する場合でも、最初からグローバルを想定したチームを組成することを意識するべきですね。
海外進出は、安易に人に勧められるものではありませんが、志があれば、ぜひチャレンジしてみてほしいです。
内山:ありがとうございます。たしかに、グローバルなメンバーでチームを作れるのであれば、起業の場所が日本であってもよいかもしれないですね。
最後に、創太くんの目指す未来を教えてください。
渡辺:今、日本ってチャンスだと思うんですよ。「これから感」が強い。今後1〜2年で世界に追いついて「Web3といえば日本だよね」と言われるぐらいの国になりたいです。
Web2では遅れをとったけれど、Web3でやっと日本に良い球が回ってきたと感じています。気を引き締めて事業に取り組んでいきます。
インタビューを終えて
日本発でグローバル市場にチャレンジする企業は、Web3に限らず、Web2の起業家を含めてたくさんいます。しかし、なかなかグローバル市場で勝つことができていない。世界にうって出た渡辺創太くんも「アメリカのメンバーが優秀すぎて、裸一貫で勝てるマーケットじゃないと気付かされた」と言っています。それが、日本で教育を受けてきた我々が直面する現実です。
しかし、それを正面から受け止め、そのうえで、グローバルで勝つために「backed by Japan」という戦略に切り替えたという話、そして勝つためには「誰でもできることを誰にもできないぐらいやる」という言葉には、創太くんならではの起業家としての柔軟性と底力を感じさせられました。
グローバル市場にチャレンジする多くの起業家にぜひ読んで欲しいストーリーです。
渡辺創太(わたなべそうた)◎1995年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。シリコンバレーのブロックチェーン企業での勤務を経て、2019年にステイクテクノロジーズを創業。
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