評価基準は「何を成したか」
渡辺:自社に合う人材かどうかは、1カ月ほど一緒に働けば大体わかるので、入社のハードルを低めにしています。見極めのポイントとして重視しているのは、「指示待ち人間でないか」という点です。内山:メンバーの評価設計はどうされているのでしょうか。
渡辺:基本的には「何を成したか」で評価していて、各々のアウトプットを最も重視しています。
あとは、「自分の業務範囲を自ら限定していないか」も見ていますね。例えば、バックエンドのタスクしかやらないバックエンドエンジニアは、当社にはいません。
エンジニアリングに留まらず、アンバサダーとの打ち合わせやマーケティングチームの会議に参加する。会社の全体像と現在地を把握して、今何を重視するべきなのかを理解しようとする姿勢も評価します。
自分に与えられている仕事とそれ以外の両面で、どれだけ会社に貢献しているか、ですね。
当社の場合、すべてのコミュニケーションをオープンにしています。なので、社内のパブリックスペースで自分の業務外のエリアに貢献する活動をしていればすぐにわかります。
内山:でも、国が違うと評価の文化も異なりますよね。例えば、創太くんが想定している以上に高い自己評価を主張するメンバーもいるのでは。
渡辺:そうですね。でも、そのような意見は受け入れないカルチャーを築いています。あくまで数字を基準に判断しているので。決めたKPIに対して大幅な伸びを出せば、極端な話、1日1時間しか働いていなくても評価します。
ただ、大抵の場合はハードワークしないと達成できないKPI設計になっているので、基本的にみんな全力で働いています。
そういう振り切ったカルチャーなので、合うか合わないかは明確に出ます。良い意味で、人材の入れ替えは多いほうだと思います。コアメンバーはほぼ変わらず、新規で入社する方は、合う方は定着して、合わない方はすぐに離脱していきます。
内山:報酬についても、ユニークな戦略をとっていましたよね? 優秀な人に対して平均以上の報酬を支払う方針にします!と、かなり初期の頃におっしゃっていたような。通常のスタートアップ企業だと、ストップオプションを渡すから報酬は低くしてね、という形になりがちなのに。
渡辺:創業当初から変わらず、優秀な人に対して市場平均以上の報酬を支払うスタンスを貫いています。当社の報酬は、トークンでのボーナスと月次給与の2種類あるのですが、月次給与だけでも市場平均を上回ってると思います。
内山:従来の流れに沿わない柔軟な決断をできるのは、本当に素晴らしいですね。
次回は、アメリカで勝つための戦略について伺います。
この著者の過去記事はこちら
・シリコンバレー「心の落とし穴」に学ぶ、起業家のメンタル維持
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