起業家

2023.02.03

スタートアップ経営者になって消えた、キャリアへの焦り|Yoii CEO 宇野雅晴、CTO大森亮

右からCEO宇野氏、CTO大森氏(画像=Yoii)

──大森さんはファーストキャリアからスタートアップで働くことを選ばれました。新卒として同期の方が大手企業に就職するなか葛藤はありましたか?

大森:親からの反対もあり、葛藤もありました。しかし「自分でビジネスを動かしていきたい」という思いが強かったので、スタートアップを選びました。

宇野さんと出会ったのは前職の、渡辺創太さんがCEOを務めるStake Technologies。3人目のメンバーで、リードエンジニアとして参画しました。会社の方向性を決めるなかで社会にどうインパクトを与えるか考えられること、混沌とした状況でも自分で責任を持って事業を拡大していくことに魅力を感じました。

その後、Yoii共同創業者への転身により、技術、プロダクト、マネジメント全てを考える立場になったことは、一言で言うと大変ですが、楽しい部分でもありますね。

テクノロジードリブンで経済活動に関わる

──フィンテックスタートアップを立ち上げた理由について教えてください。

宇野:経済活動をしていくうえで金融はどの企業でも必ず関わりがある部分。そこには人間の知恵がすごく詰まっていると感じていました。

資産を奪おうとする不正者に対して、単純な所ではエスクロー*1 や数理モデル*2などさまざまな技術を駆使した防御壁が作られています。人間の欲望と知恵が集結する様が面白いと感じ、その第一線にあるテクノロジーに触れたいと思いました。

*1 物品などの売買に際し、信頼の置ける「中立的な第三者」が契約当事者の間に入り、代金決済等取引の安全性を確保するサービス
*2 現実のデータを理解・活用するために生み出されたさまざまな数理的な手段の総称

大森:金融が与える社会へのインパクトが大きいなかで、既存の経済システムを打破するRBF事業は日本の閉塞感やデフレを打破する強いきっかけになると思ったんです。

また、テクノロジードリブンで金融業を発展させていくという考えが日本ではまだそこまで進んでおらず、データドリブンなプロダクトやシステムによって経済を発展させることにわくわくしたのも理由の一つです。

日本ではリスク、海外ではチャンス

──海外と比べ、スタートアップ業界に入りたい優秀な若者の割合は日本では相対的に低いと思います。状況を改善するためにはどうすればいいでしょう?

宇野:よく言われることですが失敗を恐れないことが重要です。日本人の採用活動で感じることは、リスク回避への意識の高さですね。リスクマネジメントに長けているという見方もできますが、「失敗への恐れ」が強い。

当社は海外のチームメンバーが半数程度いますが、日本ではリスクと捉えられるような事業規模の小ささや責任範囲の大きさが、海外では「チャンスがある」「責任がある仕事につける」など、メリットとして捉えられる印象があります。
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文=Plug and Play Japan

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