第一回は、RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス:将来の見込み収益をベースに企業が資金調達をできる仕組み)プラットフォームでスタートアップの資金調達を支援するYoii(ヨイ)共同創業者の宇野雅晴さん、大森亮さん。
Yoiiは2022年4月にサービスを開始し、9月には4億8000万円の資金調達を実施した。数十社にサービスを提供しており、2024年には海外進出も目指す。
もともとは企業の社員としてキャリアをスタートした共同創業者の2人。どのような道のりを経て、今のポジションに至ったのか、話を聞いた。
・インタビュアー Plug and Play Ventures Principal 馬静前
コンサルティングや証券会社を経て、2021年からPlug and Play Venturesに参画。日本のスタートアップ投資業務全般を統括。
経営者になって変わった、キャリア観
──スタートアップでの勤務や起業を経て、キャリアに対する考え方はどう変わりましたか?宇野:私は博報堂プロダクツからキャリアをスタートしましたが、新卒の頃から起業に関心を持っていました。アドテク*1を中心に、スタートアップから提案を受ける機会もあり、彼らの技術の面白さ、提案力の高さ、熱量などに触れ、いわゆる「スタートアップ業界」への関心を募らせていました。
新技術やそれを生み出すエンジニアたちと働くことへの興味から、その後ペイメント領域のスタートアップOmise(現:Opn)に入りました。
Omiseでは事業開発を経てカントリーマネージャーとして勤めました。やらなければいけないことが多く、とにかく動く必要があるので、「実行力」がすごく身についたと思っています。また、自分で判断して動いていくなか「人を巻き込む力」も得られました。Omiseの後に加入したBUIDLではVice Presidentとして、採用から関わりました。
スタートアップでは、営業、人事、総務まで非常に多くのことを1人でやります。そのため器用貧乏のように感じることもあったんです。今に至るまでキャリアについて悩むこともありましたが、スタートアップの経営者になってそのような焦りはなくなりました。
これまでは自分の能力を高めることに注力していましたが、経営者になってからは「社会に対してどのような新しい価値を提案するのか」が全て。その中で事業やメンバーの成長に対する責任について主眼を置くことになり、自分主体でキャリアを考えることが無くなりました。
*1 広告配信の効率を上げるためのテクノロジー