犬が「自分がからかわれている」と認識している可能性

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48匹の犬に対して全96回の試行(1匹が2回ずつテストされた)が行われ、実験者に餌を与える意志がないか、能力がないかを区別できるかどうかを調べた。全試行において、犬は最終的に褒美を得るまで30秒間待たなくてはならず、その間に研究チームは彼らの反応を注意深く観察した。

フェルター博士らは「意志のない・からかい」テストを「不能・不器用」テストと比較した場合、犬は自分と実験者を隔てるプラスチック障壁から離れる時間が長く(チンパンジーとオマキザル科の実験結果と同じ)、実験者から目を背ける頻度が高く(人間の乳児や馬と似ている)、座ったり寝転んだりする時間が長くなると予想した。

フェルター博士らが結果を分析した結果、ソーセージを意図的に引っ込めたとき(意志のない・からかい)、犬は後ずさって座るか寝転ぶ反応を見せた。対照的に、エサが偶然止められた場合(不能・不器用)、犬はより寛大な態度を示し、アイコンタクトを続け、尻尾を振り、実験者とソーセージ配給器の近くに居続け、まだエサを期待していることを表現した。実験結果は犬種、年齢、性別を問わず類似していた。

不能・不器用テストの後、犬が尻尾を右に振ったことは興味深い。それは喜んだりリラックスしていることを示すことが知られている行動であり、不器用な人間を許したことを表現していた可能性がある。その後、フェルター博士らは別の2種類の移動タスクを通じて、ある実験者を別の実験者よりも嫌がるかどうかをテストした。最初の選好タスクでは「からかい」と「不器用」両方の実験者とも受動的に振る舞い、犬が望めば近づけるようにした。第2の目標選択タスクでは、2つの別々な餌容器をからかい担当と不器用担当の実験者が同時に指差し、犬がどちらかを選べるようにした。

フェルター博士らによると、同じ結果を招くが意図の異なる人間の似たような行動を、犬が実際に区別できるという確かな証拠を実験結果は示している。

出典:Christoph J. Völter, Lucrezia Lonardo, Maud G. G. M. Steinmann, Carolina Frizzo Ramos, Karoline Gerwisch, Monique-Theres Schranz, Iris Dobernig and Ludwig Huber (2023). Unwilling or unable? Using three-dimensional tracking to evaluate dogs’ reactions to differing human intentions, Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences | doi:10.1098/rspb.2022.1621

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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