ヘルスケア

2023.02.05 17:00

治療抵抗性うつ病、患者を救うカギは早期発見と適切な対応

研究対象者のおよそ60%は、初めて治療を受けた際に、抗うつ剤として選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を処方されていた。最も治療抵抗性が認められた抗うつ剤は、SSRIのエスシタロプラム(商品名レクサプロ)のほか、ノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害薬に属するブプロピオンとベンラファキシン(商品名イフェクサー)、そして四環系抗うつ薬に属するミルタザピン(商品名リフレックスなど)だ。

TRD患者が2回の治療を終えるまでに要した期間は、平均で1年半だった。これは、研究者が治療の効力を見極める上で推奨する期間より数カ月長い。

論文著者の1人で、ノーザン・ストックホルム・サイキアトリー・クリニック(Northern Stockholm Psychiatry Clinic)の客員教授ヨハン・ルンドバーグ(Johan Lundberg)は、プレスリリースでこう述べている。「この研究で取り上げたのは、相当の医療費がかかっており、重症度評価尺度の使用を増やせば、いまよりも早めにTRDのリスクを見極めうる患者グループだ。今回の研究結果を見る限り、こうした人たちには、より良いケアと治療を提供できる可能性がある。医師が、効果のない治療をもっと速やかに取りやめて、TRD向けに推奨されているリチウムなどを使った治療に切り替えるようにすれば、その可能性が生じうる」

「TRDの発症リスクが高い患者を特定することは、有益だ。TRDは、患者に大きな苦しみを与えるものであり、社会にも負担を与えるからだ」とルンドバーグは付け加えた。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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