2018年に医学誌「ランセット」で発表された研究論文によると、障害生存年数(years lived with disability: YLD)に影響を与える要因を世界的に分析したところ、うつ病は、いくつかの病気やケガを凌ぐ上位に位置していた。
MDDの患者を治療する精神科医や内科医は、抗うつ剤を処方し、精神療法を受けるよう助言しており、数カ月や数年で症状が改善するケースもある。しかし、「数カ月が経っても、さまざまな治療法を試しても、症状が改善しない患者が相当数いる」と、JAMAサイキアトリーに掲載された論文には書かれている。
適正な容量の抗うつ剤を一定期間にわたって服用する治療を、2回かそれ以上完了しても症状が緩和されない場合に、TRDという診断が下される。2006年の研究によれば、MDD患者のうち、推定で30%以上がTRDを発症している可能性がある。
「1回目、2回目、または3回目の治療への反応に関する予後因子(治療後の経過を判断するための材料)は、まだ確立されていない。そうした予後因子は臨床医にとって、より厳密な容態確認や介入、支援を必要とする患者を見極める上で役立つものだ」と研究者は述べている。
JAMAサイキアトリーで論文を発表したスウェーデンの研究チームが研究に用いたのは、ストックホルムが管理する医療データベース、ならびにスウェーデン社会保険庁のデータだ。研究対象には、2012年から2017年のあいだにMDDを発症した14万5000人以上の患者が含まれている。そのうちの11万115人は、抗うつ剤を1回かそれ以上服用していた。TRDと診断されたのは、コホート全体の11.1%にあたる1万2765人だ。
「TRDを発症した患者は、医療費の支出が増えたり、不安症やストレスに悩まされたり、自傷行為に及んだり、欠勤したりといったことが増える傾向がみられた。また、病院の外来受診回数の平均が50%以上高かった」と研究者は述べている。