知らないと損する 経営者のための「オーセンティック」とは?

ラーニングエッジ代表取締役 清水康一朗

歴史を持つという意味では、雅な京都の文化や、エネルギッシュな東京、また移り変わる四季の美しさに加えて、126代続く皇帝制度が存続する「日本という国」ほど、この「オーセンティック」をクールに体現している国はないと思っています。

個人的には、世界から受けている高い評価に対して、日本のメディアなどで自らが捉えている国内評価との間にギャップがあるのが残念でなりません。だからこそ、本来我々日本人に備わっている「オーセンティック」という意味合いを正しく捉えて解像度を上げて、世界へ発信していきましょう。これからの「夢」を語るだけではなく、「歴史」や「背景」、「本当の想い」を語るのです。

Getty Images

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思い起こせば、15年前のビジネスシーンでは、みなが「ドリーム(夢)」を追っていました。「夢」を語る人が評価され、「夢」を語る会社に人が集まっていました。いまでは、「夢」だけを語っても、特に若い人の中では、心が動きづらい時代に変遷してきました。おそらく「実態」をみられるようになったのでしょう。

もちろん「夢」はとても大切なものなので、誤解がないようにはしたいのですが、時代的にめまぐるしくDXが加速し、SNS情報合戦が繰り広げられ、夢だけではなく、実態として持続可能なのか、ちゃんと続けられるのか?と「サステナブル(健全性や持続可能性)」が世界中で語られるようになりました。そうやって、時代の流れの中で2023年現在は、原点に立ち返るべく「オーセンティック」(本当であること、本物であること)がクローズアップされるようになったのです。

組み合わせで「オーセンティック」を実現

では、ビジネスにどう適用すればいいのか? いきなり「オーセンティック」であれ!と言われても難しい、と感じたかもしれません。お勧めしたいのは、すでにある「オーセンティック」を感じるものとコラボして、見せ方を変えるというのも、ひとつのマーケティングの方法として有効ですので、紹介させて頂こうと思います。

具体的事例でお伝えします。例えば「ゴルゴ13 養命酒」と検索してみてください。この意外性のある商材、それぞれが「オーセンティック」を感じさせる二者がコラボして新しい世界観を生み出しています。他にも「ザク とうふ」と検索してみてください。相模屋という豆腐屋は、ガンダムに登場する「ザク」に模したパッケージにしただけで、通常5000丁売れればよしとされる豆腐がなんと14万丁!も売れてしまったのです。

これは、会心の一撃となるアイデアでした。また、20年前に一世を風靡した「スラムダンク」が現在リメイクして映画化され、本家「スラムダンク」を知らない、いまの小学生からZ世代まで夢中にさせたりしています。「オーセンティック」と「いま」の組み合わせは、マーケティング的に考えても非常に効果的です。

その経済性のポイントは、老舗の持つ「歴史」と「本物感」、その信頼性とパワーが、新しいターゲット層にもダイレクトに刺さるインパクトを生み出すから。喉から手が出るほど渇望している顧客を、2倍あるいはもっと獲得できる、双方にとって大きな相乗効果が生まれるわけです。

経営者は、日々忙しいですが、是非今年は、あなたなりの「オーセンティック」を考えていただきたい。そしてそのエッセンスをビジネスに実践して欲しいと思います。そしてこれからは、この「オーセンティック」な情報発信を意識するだけで、これまでのマーケティングとは比較にならない新たな付加価値が広がっていき、大きな飛躍に導く潮流が起こることを信じています。

文=中村麻美

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