マーは2020年に自身のフィンテック企業アント・グループの350億ドル(約4.5兆円)規模のIPOが突如中止に追い込まれて以来、公の場に姿を見せていないが、最近は世界中を旅する姿が目撃されている。香港に向かった目的は不明だが今回の旅は、中国政府がテック企業に対する締め付けをようやく緩め始めたタイミングと重なっている。
香港経済日報は、マーが旧正月の休日に香港を訪れたのではないかと推測している。彼は、年明けにはタイを訪れ、ミシュランを獲得した屋台料理のレストラン「ジェイファイ」で目撃されたほか、市内のスタジアムでムエタイの試合を観戦したとされる。
マーは昨年、中国政府のネット企業への監視の目が厳しい時期に、約半年間、東京に住んでいたと報じられた。彼はまた、ヨーロッパにも旅行しており、昨年6月にはスペインのマヨルカ島沖で彼のスーパーヨット「Zen」が目撃された。また、7月にはオランダのワーゲニンゲン大学を訪れ、2019年にアリババの経営を離れて以来、関心を示していたサステナブルな農業について学んでいる姿が目撃されていた。
アントは昨年末に約15億ドルの資金調達計画の承認を政府から得たと発表したが、1月7日にマーが同社の経営権を手放すと発表した。アリババの広報担当者は、フォーブスからのコメント要請をジャック・マー財団に取り次いだが、現時点で回答は得られていない。
Eコマース大手のアリババの株価は、20日の香港市場で3%以上急騰し、年初来では30%高となっている。現在58歳のマーの保有資産は258億ドルとされ、年初から34億ドル上昇しているが、それでも2021年のピーク時からは50%近く減少している。
(forbes.com 原文)