老舗繊維商社、瀬戸内に「循環」テーマにした拠点。その狙いは?

子どもも大人も楽しめる場所に

AJI CIRCULR PARKのコンセプトは、「つどう、つながる、めぐる。」だ。「循環」をテーマに据え、人が集まり、つながり、結果として様々なモノがめぐっていく場づくりを目指している。

カフェでは美味しいコーヒーや地元産の素材を使ったベーグルが楽しめ、ショップではLocal、Recycle、Reduce、Reuse、Universal、Naturalという6つのテーマをもとに選定された、地元・瀬戸内産のプロダクトや国内外のサステナブル・プロダクト、書籍、古着やサステナビリティに配慮されたアパレルブランドの商品が購入できる。

キッチンスペース。おいしいコーヒーとベーグルをいただける

瀬戸内産のプロダクト

衣服エリアには衣服の回収コーナーや無料の古着交換コーナー、地域の人から集めたリユース品を買えるメルカリのリアル版のような棚もあり、シェアリングからリユース、リサイクルまでそれぞれのスタイルでサーキュラーエコノミーに参画できる仕組みになっている。古着と新品の衣服が一緒に陳列されている点も興味深い。

0円古着交換ボックス

衣類回収ボックス。回収後はリサイクルされる

ショップを訪れて一際目を引くのが、庵治石の魅力を伝える「AJI PROJECT」を展開する庵治石職人の二宮力さんが手がけた庵治石のスツールだ。また、中商事のニット工場や県内のモノづくり企業の製造過程から出る端材や廃棄資材の販売も行っており、プロダクトをただ買うだけではなく廃棄物を使って何かを作りたいというクリエイターの感性も刺激する。

庵治石のスツール。庵治石職人・二宮力さんの作品

中商事の工場から出る残糸やハギレ、県内メーカーの工場から出る端材などを販売している

さらに、AJI CIRCULAR PARKでは陳列棚や試着ルームなどの什器類にもサーキュラーデザインの原則が適用されている。未活用だった倉庫の構造材を再利用しており、解体後は再び元の用途として利用できるようになっている。空間を取り囲んでいるのも不要となった木材パレットだ。

中さん「公園のようにいろんな人がそれぞれの目的で集まってきて、各々が好きなことをしている感じがとても良いなと思い、『パーク』と名付けました。また、マルシェでは生産者と消費者をつなぐ場所を作りたいなと思っています。食もそうですし、瀬戸内にたくさんあるモノづくりの会社と消費者がつながることで、何か違う関係が生まれるのではないかと。ワークショップでは、純粋に楽しんでもらえる企画でありながら、実は廃棄生地を使っているなど、循環や環境に興味を持つきっかけとなるものをやりたいですね」
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文=IDEAS FOR GOOD Editorial Team

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