働き方

2023.01.22

昇進における人種差別や性差別の壁を打ち砕くデジタルツール

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労働力の多様化が進む一方で、人種差別や性差別が、企業のリーダーや管理職の座から人々を遠ざけているのも事実だ。この問題は、昇進の過程で偏見が定着している、旧来の男性中心のネットワークを好む後進的な企業文化が原因となっている。多様なマネジメントが成長と革新にもたらす力を理解し、推進していく覚悟が必要だ。同時に、さまざまなことを改善してくれるテクノロジーは、人種や民族のマイノリティや女性がリーダーシップを発揮する機会をようやく開くのに役立つものだ。

McKinsey(マッキンゼー)の分析によると、現在、黒人の管理職はわずか7%だという。副社長や上級副社長といったシニアマネージャーレベルになると、さらに減少し、それぞれ5%、4%となっている。さらに、Leanin.org(リーン・イン)とMcKinseyの別の調査によると、C-Suiteクラス(役員)のわずか23%が女性で構成されている。

テクノロジー、特にデータ分析の領域は、この課題に変化をもたらし始めることができる。デジタル技術は本来、偏見のない、デジタルな「痕跡」、もしくは管理職の昇進の記録を提供するものだと、『The Equality Machine: Harnessing Digital Technology for a Brighter, More Inclusive Future(平等な機械:デジタル技術を活用し、より明るく、より包括的な未来へ)』の著者であり、サンディエゴ大学の教授であるオーリー・ローベルはいう。「アルゴリズムがブラックボックスであることはよくいわれることですが、人間の意思決定が完全なブラックボックスであるのとは異なり、デジタル技術は事実上、成果や多様性について常に監査できる痕跡を私たちに与えてくれます」と、彼女はいう。「私たち人間は、自分のバイアスを理解し、修正することが非常に苦手です」

テクノロジープラットフォームは、社員の募集と採用のパターンを追跡するだけでなく、リーダーシップを持つ人材をより広く、より多様に確保するための効果的なツールであることが証明されている。「オンライン広告や採用プラットフォームは、旧来の男性中心ネットワークや口コミによる非公式な情報を、広範なネットに置き換え、より広く募集を行い、会社の直接的なネットワーク以外の人々にもポジションに関する情報を広める手段となり得ます」とローベルは語っている。また、LinkedIn Recruiterのようなサービスは「企業が応募者を性別で追跡することができ、バランスのとれた応募者数を確保することが容易になる」と指摘する。「デジタルプラットフォームは、人材の流動性を高め、平等と男女・人種間の賃金格差の解消の原動力となることを、私は研究で明らかにしてきました」
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翻訳=水越章仁

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