働き方

2023.01.22

昇進における人種差別や性差別の壁を打ち砕くデジタルツール

Getty Images

採用における自動化とアルゴリズムに基づく意思決定は「感情認識、ゲーム、仮想現実などの技術を使って、偏見を合理化し、取り除くのに役立っています」とローベルはいう。「全米経済研究所が発表したある研究では、プログラマーが企業の取締役選任を予測するために12年間かけてアルゴリズムを訓練しました。その結果、企業では男性であること、大規模なネットワークに属していること、すでに十分な取締役経験があること、財務のバックグラウンドがあることなどが、取締役に選ばれる可能性が高いことがわかりました。バイアスの検出は、AIを倫理的なツールとして活用するための第一歩です」と語る。

全米経済研究所の研究結果は「決定的に重要なことも示しました」とローベルは付け加えている。「取締役会の取り巻きでなく、異なる経歴を持つ取締役は、経営陣の監視においてより良い仕事をするのです。つまり、このアルゴリズムは、取締役選任における人間のバイアスが、多様性だけでなく、ビジネスにとっても悪いものであることを示すのに役立っているのです。また、企業の監視役として汚職を暴くことに積極的な、外からきた企業役員と同様、アルゴリズムには生来の利益相反がないのです」

より高いレベルのポジションを求める人々にとっても、利用可能なデジタルツールがある。「『Know Your Worth(ノウ・ユア・ワース)』のようなアプリなど、給与情報のデジタルクラウドソーシングは、知識の集中を逆手に取り、女性や有色人種が自分たちが低賃金で過小評価されていると認識できる方法でもあります」とローベルは付け加える。「これによって、賢い企業リーダーは、この過小評価されている人材を採用したり、引き抜いたりすることができるのです」

より多くの人を管理職にするために、現在のビジネスリーダーやダイバーシティ推進者はどのような行動をとればよいのだろうか。ローベルは、まず何が人を会社から離れさせているのかを知ることから始めるようアドバイスしている。「データ分析によって、女性やマイノリティが不当に会社を去る理由のパターンを特定することができます」と彼女は説明する。「例えば、通勤時間が理由だとすると、会社は在宅勤務のテクノロジーに投資すべきですし、仕事と家庭のバランスが理由だと、会社はもっと柔軟に出産や育児のための休暇を設けるべきでしょう」

forebes.com 原文

翻訳=水越章仁

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