「偽情報」が存在し続ける理由、問題を軽減するための長期的な解決策

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第二に事実、フィクション、虚偽を見極めようとするとき、私たちは危険なほど過信している。最近の調査によると、米国人の4分の3は、ニュースの見出しが正当なものか嘘かを見分ける際に自分の判断を過信してしまっており、この過信の度合が大きいほど、信頼できない情報源を頼りにニュースを共有する傾向が高くなることがわかっているのだ。

教育:トンネルの先にある光

メディア業界や一般的なビジネスにおいて、誤情報はますます現実のものとなっていくだろう。これに対して、誤情報に対抗するための専門産業が急成長している。最近Twitterが導入したBirdwatchのような、誤報にフラグを立てるコミュニティベースのシステムがあるが、消費者の騙されやすい性質を考えると、私はこれを楽観視していない。むしろ、AIを活用した誤情報対策技術の方が、目の前の膨大なタスクに対応するための拡張性があるため、より現実的と言えるだろう。

長期的な視点で見ると、デジタルに精通した若い世代を教育していくことも、この潮流を覆す方法の1つである。それにより、事実、フィクション、ファンタジー、デマを区別してコンテンツを批判的に消費できるようにし、ソーシャルメディア以外の複数のソースを評価しながら、その過程で自分のバイアスを受け入れられる研究者のように考えることができるようになるだろう。ただ、デジタルに精通するほど、事実とフェイクニュースを区別する能力について過信する傾向もあるため、これは苦しい戦いになるようでもある。デジタル機器を使用する場合、18~29歳の米国人の42%がソーシャルメディアサイトから頻繁にニュースを入手しているのに対し、50~64歳では15%にとどまっている。そして、皮肉なことに、ソーシャルネットワークを通じてニュース記事を共有すると、たとえ読んでいなくても、その信憑性についてさらに確信を持つようになるという調査結果も出ているのだ。

そもそも、ソーシャルメディア企業には、誤情報を撲滅するための十分なインセンティブがない。少なくとも、自分たちのプラットフォームをニュースソースとして利用することについて、消費者に注意を喚起するべきだ。ビジネス面では、業界を問わず、従業員が誤った情報に気づき、それに対抗するための社内のトレーニングを開発する義務がある。社会的には、高校や大学の教育関係者が、新しい世代がネット上のコンテンツを消費する際に批判的に考え、調査する意識を持つように教育することが大きな課題となっている。短期的な戦いではなく、長期的な戦いで誤った情報に対抗していかなければならないのだ。

forbes.com 原文

翻訳=水越章仁

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