「偽情報」が存在し続ける理由、問題を軽減するための長期的な解決策

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2023年とそれ以降のメディアの状況を形成し、今後も増え続けるであろう重要な変化がある。それは「フェイクニュース」の蔓延だ。デジタル技術は、本物の情報やコンテンツだけでなく、本物のように見えるが実際には誤ったコンテンツの拡散までもますます可能にしている。それは今後も続くのだろうか? それとも排除できるのだろうか? そして、最低でも管理することはできるのだろうか? 答えは「ノー」だと思うが、問題を軽減するための長期的な解決策はありそうだ。

フィクションとファンタジー

クリエイティブなコンテンツとしてのメディアに関しては、まるで本物に見える非現実的なコンテンツの作成を可能にするAI対応技術の大幅な貢献がある。例えば、本物に見えるディープフェイクの写真や音声、動画の作成、記録されたシーンとバーチャルセットの合成などが大きく発展している。

エンターテインメントにとって、これは実はポジティブなことだ。映画やゲームの中で、作り込んだり、手を加えたりしたシーンが、現実や幻想的なシーンに似ていればいるほど、それは良いことだからだ。問題は、残念ながらエンターテインメントにおけるフィクションやファンタジーを可能にするこれらと同じ技術が、消費者を騙すために使われることがあることだ。

虚偽と歪曲

フェイクニュースは、共有された虚偽の情報を指す言葉としてますます使われるようになっている。しかし、この言葉はかなり大雑把に使われているので「誤情報」と「偽情報」という専門的な言葉を使えば、この問題を読み解くことができるかもしれない。

「誤情報」とは、誤った、あるいは誤解を招くような情報のことだ。かつては、ラジオやテレビといった伝統的なメディアチャンネルで誤情報を広めることは困難だった。なぜなら、信頼できるキュレーターやジャーナリストが多く、そういった情報は現在より制御可能で予測可能なメディア空間が存在したからだ。

ソーシャルメディアの出現により、メディア空間はまさに荒れ狂う「西部劇」と化し、誤情報の肥沃な大地と化した。インターネットでは、誰もが真実を知っていると主張することができ、偽物の人間や偽物のボットでさえも、真実を知っていると主張することができる。虚偽や事実の歪曲は、それが映像、音声、テキストのいずれであっても、野火のように広がる可能性がある。

ほとんどのソーシャルメディアプラットフォームは、ニュースや情報の専門家でも信頼できる情報源でもないにもかかわらず、消費者の半数以上がソーシャルメディアをニュースソースとして利用している。私は、この問題に対処するために、ソーシャルメディアプラットフォームは自らをニュースソースとして宣伝すべきではないと主張してきた。
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翻訳=水越章仁

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