ジャングル x DAO&NFTで、人と地球にウェルビーイングを

Jungle Clubの発起人、Technel合同会社 代表の七沢智樹氏


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島のほぼ中央にある神々しいマヤグスクの滝。船で移動し、険しいジャングルをヒルと戦いながら3時間歩くと到着できる

DAO(分散型自律組織)としての活動テーマは、西表島の原生自然と文化の持続可能性に貢献するアイデアやアクションを考え、実行していくことだ。自分達のフィールドを守るという使命を担い、西表島への貢献を行う。

「西表の原生自然は世界的にも貴重なものです。後世に残すために守っていく必要があります。そうした活動をする先駆者たちが島にいらっしゃいます。しかし、入島者数が増える中で、まだまだ十分とは言えません。僕らも何かを始めるべく構想するなかで、たまたま声をかけた仲間がブロックチェーンエンジニアだったことから、DAOで始めてみようということになりました」と七沢氏。

こうした活動は営利目的ではできないので、会社組織でやることは難しい。かといってNPO団体など非営利法人で最初からやると、組織それ自体の運営コストの高く、メンバーが固定的になり、あまり自由に活動できない。

七沢氏は、DAOでやることにより、方向性に共感する人の思いとその力を推進力にしつつ、組織運営それ自体は、自由度が高い状態でやれると考えた。「DAOは、組織運営のためにたくさんの機能を持たせられるテクノロジーであり、道具なのです」

Web3界隈で注目を集めるDAOだが、一方でコミュニティ運営がうまくいっていない、特性をうまく使いこなせてないなど、さまざまな問題も噴出してきている。七沢氏はその辺りについてどう考えているのだろうか。

「DAOには自由な組織のイメージがあるかもしれませんが、やはり中心となる渦による推進力も必要です。中心に純粋にこれをやりたくてしょうがないからやっているという人が何人かいて熱量を持ってコミットできていれば、周りのメンバーが少々入れ替わろうが、全体には影響はありません。 

一方で、中心の人たちだけではやれないので、関係人口を増やすことはとても大切です。関わる人が増えれば、よりインパクトのある活動ができるようになります」

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獲った魚は自分たちで捌いて食べる。ワイルドな体験が都会人の原生自然感覚を呼び起こす

実は七沢氏、18年前に西表島のジャングルでサバイバル生活をしていた経験があり、その後もたびたび訪れて、多様な魅力を体感してきた。そしてそれが人生の糧となり、さまざまな能力の開発や人生を豊かにすることに役立ったと実感している。

「ジャングルでの生活以後、公認会計士になったり、会社を共同経営したり、技術開発や哲学探究をしてきました。それらの経験を活かし、また恩返しの意味も込めて、西表島の自然と暮らしの持続可能性に貢献する組織を作ろうと思ったんです」。この強いモチベーションこそが、渦の中心となりDAOを運営していく推進力となっているのだ。
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文=国府田淳 写真=今村直樹他、ジャングルクラブメンバー

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