「スポーツワーケーションの実験ですから、まずはスポーツをすることで生産性が高まるのかという測定をしました。1日1時間以上スポーツをしてもらい、戻ってきたあとに創造性テストというものを受けてもらったんですね。脳波計を頭につけて、表情をカメラで撮影し、心拍数を測りながら、アイデアを出し続けるというテストですが、スポーツをした後の方が数値がよくなっていました。
また、人によってはスポーツ後にアルファー波の状態がよくなっていたという結果も出ています。さらにスポーツ選手が『ボールが止まって見える』と言ったりする超集中状態、『フロー状態』というんですが、このテストでは、やはりスポーツ後にスコアが高くなっていることがわかりました」(佐藤氏)
出典:日本総研公式サイト コラム「スポーツによるフロー状態の実現と創造性の向上~2021野沢温泉スノーワーケーション実証結果を踏まえて~」
ご褒美でもモチベーションUP
こうした数値の他にも参加者に行ったアンケートでは、都心で仕事をするよりも集中できたと感じた人が多かったそうだ。日本総研が大阪大学とアシックスの協力のもとに行った実験では、ランニングマシーンを使って室内で走ることと、自然を感じながら屋外を走ることでは、その後の脳の活動に違いが出るという結果が出たそうだ。
「私も実験に同行していたのでわかるのですが、皆さんすごくメリハリのある生活をされていました。集中して仕事をして10分早く切り上げれば、10分間滑る時間が増えるとか、温泉に入れるといったように考えるので、無駄な仕事は極力しないようになります。スポーツをする時間を決めておくことで、それまでにいかに仕事を圧縮して終わらせるかと考えるようになるんです」(佐藤氏)
さらに夜は夜で、仕事を早く終わらせたくなる気持ちが高まる環境が野沢温泉村には整っているという。
「スノーリゾートの場合、大抵は宿で夕飯を食べるので、飲食店があまりないですよね。でも、野沢温泉村は飲食店が複数あって、しかも村がコンパクトなので歩いてお店をはしごできるんです。なので、参加者は毎日違う店に行ったり、店をはしごして楽しんだりしていました。
昼間は仕事に集中して、なるべく残業をしないようにし、夜は参加している他社の方と地元のジビエを食べに行ったり、クラフトビールを飲みに行ったり」
クラフトビールの店「里武士」の他、野沢温泉村ならではのグルメが楽しめるのも魅力
好きなスポーツをして、温泉に入り、夜は美味しいものをみんなで食べに行く。そうしたご褒美がある環境で仕事をすると、ダラダラと無駄な仕事をする人はいなくなると佐藤氏は実感したそうだ。