AIと人の協力で「もっと美しい俳句」が生まれる可能性、京都大学の実験結果

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京都大学の研究グループは、人はAIが詠んだ俳句と人間の俳人が詠んだ俳句を区別することは難しく、AIと人間が協力して詠んだ俳句を最も美しいと評価することがわかった。ただし、おそらくこれは日本語にのみ適用される。

AIは視覚芸術の創作も、リアルな会話もかなり上手になってきたが、詩の世界ではどうなのだろうか。京都大学の研究グループは、それを確かめるために、数百人の有志を募り、俳句を読んでその美しさを評価してもらった。さらに興味深いことに、被験者は作品を詠んだのは人間かAIかどちらだと思ったのかも回答を求めた。

実験に使用された80句のうち、40句は人間の俳人によって詠まれ、残りの40句はAIによって詠まれた。しかし、AIが生成した作品を人間が選ぶとAI俳句の質が向上することを研究者たちは知っていたため、AIが生成した俳句を2つのグループに分け、半数(20)は完全にAIが作成し、残りの半数(20)にはある程度人間が介入した。

被験者が俳句を評価する際、どれがAI生成で、どれがAIと人間の組み合わせによって作られ、どれが人間の作者のみによるものかを彼らは知らない。最も美しいと評価されたのは、俳人が詠んだものではなく、AIが生成して人間が選んだものだった。これは、人間とAIの組み合わせのほうが、人間だけの俳句よりも魅力的な俳句を詠める可能性を示唆している。

被験者は、どの句がAI生成でどれが人間が詠んだものだと思うかを記入するよう求められた。これにより、参加者のバイアスを分離することができ、その結果はなかなか興味深いものだった。「被験者は先入観がないはずでしたが、実際にはある種の逆心理学の影響を受けていました」と研究を率いた京都大学の上田祥行氏はいう。「つまり被験者は、無意識のうちにAI生成だと感じた作品に低い評価を与える傾向があったのです」

それにも関わらず、AIが詠んだ俳句は少なくとも人間が詠んだ俳句と同じくらいの評価を得た。なぜなら人間は、俳句を書いたのがAIかどうかを推測するのが非常に苦手だからだ。
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翻訳=高橋信夫

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