最近始まった「CNNモーニング」がリヒトのビジョンに対する視聴者の意欲を示すものであるなら、この18カ月でCNNを見捨てた視聴者を呼び戻すには、ネットワークには登るべき坂があることを示唆している。刷新された朝の番組は、大々的なプロモーションとドン・レモンのプライムタイムからの移動にもかかわらず、視聴率的に大失敗だった。当時CNNのプライムタイムでもっとも視聴率の高かったクリス・クオモの解雇以来、ほぼ1年間進行中だったプライムタイムのスケジュールをレモンは去った。CNNはまだクオモの後任を決めておらず、午後9時からのジェイク・タッパーはMSNBCやFox Newsに対抗するのに苦労している。
リヒトの構想はプライムタイムの枠をはるかに超え、同局は先月『スタンリー・トゥッチのイタリア食紀行』や長寿番組『アンソニー世界を駆ける』など、週末の放送にとって重要だった高い評価を得ているドキュメンタリー映画やオリジナルシリーズを打ち切ると発表した。CNNはこの決定の理由として、制作費の増加を挙げている。
11月初め、CNNはもう1つのドキュメンタリー・シリーズ『ディス・イズ・ライフ・ウィズ・リサ・リン』も打ち切ると発表した。この番組は、ホームレスや精神疾患などの問題を深く個人的な方法で検証し、ネットワークテレビではほとんど注目されない人々の声を伝えていた。リンは、2014年にCNNでデビューしたこの番組が他のネットワークで継続されることを願っていると語り、ロサンゼルス・タイムズに「私は終わっていません。個人的には、料理番組や実録犯罪のようなノンフィクションの世界に住みたいとは思いません。深みを求めている視聴者がいると思います」と述べた。
コスト削減の動きは主に上層部によるもので、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの最高経営責任者であるデヴィッド・ザスラフは、組織全体で30億ドル(約4000億円)以上のコスト削減を実現すると投資家に約束した。発表されたレイオフは、1億ドル(約135億円)の給与カットの一部と考えられている。
CNNは11月、プライムタイムの重要な視聴率競争でダントツの3位に終わった(プライムタイムの平均視聴者数は、MSNBCの120万人、Fox Newsの240万人に対し、CNNはわずか74万9000人と100万人に届かなかった)。同局は「大幅コスト削減で果たして視聴率が上がるだろうか」という重大な問題に直面している。CNNや他のネットワークにとって残酷な真実は、番組作りとくに報道には金がかかるということであり、いまのところCNNの損失は次から次へ重なっているようだ。
(forbes.com 原文)