社員に向けた文書によると、ズッカーは「20年あまりにわたって一緒に働いてきた最も近い関係にある同僚」と同意の上で交際していた。「関係が始まった時点で開示する義務があったが、そうしなかった。わたしは間違っていた」と認めた。ワーナー・メディアのニュース・スポーツ部門の会長も辞任した。
ズッカーは離婚して独身であるため、交際自体は問題でないが、関係を会社側に伝えていなかった点が義務違反になった。同僚との関係については、CNNの看板キャスターだったクリス・クオモが、兄のアンドリュー・クオモ前ニューヨーク州知事にセクハラ疑惑をめぐり助言していたとされる問題についての社内調査の過程で、問われていたという。アンドリューは昨年8月に知事辞任に追い込まれ、クリスは12月にCNNを解雇されている。
ズッカーの交際相手は、CNNで最高マーケティング責任者を務めるアリソン・ゴルストであることが明らかになっている。ゴルストも声明を出し、「ジェフとは20年あまりにわたって親しい友人であり、仕事上のパートナーだったが、最近、パンデミックの間に関係が変わった」と認めた。交際関係を適切な時期に開示しなかったことを後悔しているとする一方、CNNにとどまる意向を示している。
ふたりに限らず、会社の規則で同僚との交際関係は報告するように求められていても、秘密にしておこうとする人は多いのが実情だろう。ある調査では、社内恋愛をしている人の64%はその関係を隠しており、上司を含め会社側に伝えている人は16%にとどまるという結果が出ている。理由は不倫関係が表沙汰になるのは困る、恋愛にまで人事部に干渉してほしくないなど、いろいろありそうだ。
企業側にとっては社内恋愛はないほうが望ましいのだろうが、現実はというとその逆になっている。ある調査によれば、同僚と恋愛関係になった経験がある従業員は58%にのぼり、50歳以上では72%に達している。