「CNNの同僚」宛てに送られたリヒトのメールは、数週間前から社内で流れている広範囲なレイオフの噂を裏づけるもので、CNNの長年のジャーナリスト、編集、制作スタッフの間でも不安感が広がっている。リヒトは「CNNチームの誰か1人、ましてや多くのメンバーに別れを告げるのは信じられないほどつらい」としながらも、今回の削減は「再調整された報道戦略の一部」であると述べた。
CNN boss Chris Licht informs employees in an all-staff note that layoffs are underway.
Licht says those being notified today are largely paid contributors and then tomorrow CNN "will notify impacted employees."
Licht will then provide an update to staff afterward. pic.twitter.com/nD0pt9Ruwj — Oliver Darcy (@oliverdarcy) November 30, 2022
リヒトのメールによると、CNNの有料寄稿者は最初に人員削減の対象となり、CNNが過去数年間多用してきた、党派的寄稿者によるニュースや政治のパネル討論という形式から脱却することを示唆している。
この人員削減はCNNの視聴率危機が続いているなかで行われた。CNNは2022年、プライムタイムの視聴率が大幅に低下し、全米の広告主が最も重視する25〜54歳の視聴者層で69%も落ち込んだのである。パンデミックと大統領選の両方があった2020年の報道が落ち着くに従い、ケーブルニュース全体で視聴率が低下したことが一因だ。しかし、CNNがプライムタイムでFox NewsやMSNBCに対抗できない状況は強まるばかりで、リヒトはCNNとは何かということを考え直す必要に迫られたのだ。
リヒトの「再調整された報道戦略」がどのようなものかはいまだ不明だ。リヒトとワーナー・ブラザース・ディスカバリーの上司たちは、CNNをオピニオンから、ジャーナリズムという中核的使命に戻すことについて繰り返し発言している。リヒトは、それはCNNを両陣営の真ん中に置くような形式に移行させることではないと主張している。「私のビジョンに対する最大の誤解の1つは、『私がありきたりな中道でありたいと思っている』ということです」と彼はフィナンシャル・タイムズに語った。「説得力がなければならないし、エッジを効かせなければならなりません」