窮地に立つインテル、メーカー各社で相次ぐカスタムチップ採用

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誰も話題にしない大きなトレンドの一つに、大企業によるカスタムマイクロプロセッサーの製造競争がある。投資家がこのトレンドをどう捉えるべきかについて解説したい。

ゼネラルモーターズ(GM)の自動運転車部門であるクルーズ・オートメーションは2022年11月上旬、驚きの発表を行なった。カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置く同社が、カスタムチップを開発するというのだ。

これは、インテルにとって本当に悪いニュースだ。理由を説明しよう。

半導体は現代の驚異だ。これほど小さなものが、これほど強力になり得るというのは、まさに驚くべきことだ。つい最近までプロセッサーは、世代が変わるたびに小型化され、さらに強力になっていた。だが、このダイナミズムが変わりつつある。

半導体チップはいまでも高性能化しているが、それほど小さくはなっていない。問題はサイズだ。プロセッサーの小型化には限界がある。チップ設計者は、シリコンからより多くの演算能力を引き出すために、タスクに特化したシリコンを採用するようになった。そして、アーキテクチャの転換を図っている。

クルーズが進もうとしているのも、そうした方向だ。クルーズは、2025年に自動運転車用のカスタムチップを開発する予定だ。チップをゼロから作り始めるのはコスト的に無理があるように思えるかもしれない。エヌビディアのような企業から、既製のグラフィック・プロセッサー・ユニット(GPU)も販売されている。自動車メーカーが自社でタイヤを製造することにたとえる人も多いだろうが、それとはかなり違う。

クルーズは、本来、チップを作る会社ではない。

クルーズは、設計を行い、メーカーに製造を委託している。TSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)のような半導体工場には、最先端のスマートシリコンを作るのに必要な専用機械がすべて備わっている。理論上、このコストは、生産規模を拡大することで回収できる。
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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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