窮地に立つインテル、メーカー各社で相次ぐカスタムチップ採用

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クルーズのカイル・フォークト最高経営責任者(CEO)は、同社のカスタムチップ製造が本格的に始まるのは、自動運転車「オリジン(Origin)」の生産開始が見込まれる2025年だと語る。オリジンは、見た目はあまりパッとしないが、ハンドルもペダルもない、完全な一般個人向けの自動運転車だ。GMの幹部たちは、この移行には新しい考え方が必要だと考えている。

自動車メーカーは、従来のチップサプライヤーへの依存から脱却しようとしている。2021年以降、継続的なチップ不足によって、セクター全体が抑制されている。皮肉なことに、そうしたチップ不足は、自動車メーカー側の計画の不備によって引き起こされた。

パンデミックが北米に到達すると、フォード、GM、トヨタ、その他の企業は、需要の減速を見越して、直ちにチップの注文を削減し始めた。半導体工場は、自動車向けの旧型チップから、家電向け次世代プロセッサーに生産を切り替えた。こうして自動車メーカーは、ラインの後方へ追いやられていった。

クルーズがチップを設計しているというニュースは、エヌビディアのような汎用チップを大量生産するメーカーにとっても気がかりなことだ。しかし、インテルにとって、この流れは致命的だ。

カリフォルニア州サンノゼに本拠を置くインテルは、汎用チップの最大手であるだけでなく、同社のビジネスモデル全体が、同社のx86チップアーキテクチャの大量採用に依存している。これらのプロセッサーは、複雑命令セットコンピューティング(CISC)に基づいている。エンドユーザーがタスク特化型チップに移行するにつれ、CISCから遠ざかることが大きなトレンドになっているのは明らかだ。
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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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