ホリデーセールが人間関係の問題や鬱も引き起しかねない理由

休日が買い物の衝動を駆り立てる理由を科学が暴く(Getty Images)

ホリデーシーズンを迎え、全米の小売業者は消費者が無視できないブラックフライデーとサイバーマンデーに忙しい。

ホリデーシーズンに小売店が安売りをすることは、何世紀も前からの伝統だが、ブラックフライデーが今日のような大量消費の祭典になったのは1950年代以降になってからだ。

2005年、オンラインショッピングが勢いを増した頃、全国小売連盟(National Retail Federation)は、サイバーマンデーという用語を提唱し、ブラックフライデーに欲しいものを変えなかった人たちのためにオンラインでディスカウントを提供する日に定めた。

いまやブラックフライデーとサイバーマンデーの商業的成功は、丸一週間のディスカウントと特典の期間を生み出し、ホリデーショッピングの中心となっている。

今日のターゲット広告とSNSインフルエンサーの世界で、小売業者は人々が安心して使える以上のお金をホリデーシーズンに使わせるための高度な手法を編み出してきた。

魅力的である一方、ホリデーショッピングの安売りが、多くの病的浪費家にとって破滅を招き兼ねないことは、よく理解しておく必要がある。経済的損害だけでなく、それを強迫的に感じる人は人間関係の問題や鬱、不安など深刻なメンタルヘルス問題のリスクも抱えている。

私たちを人間関係の欠陥へと引き込み、ホリデーシーズンにいっそうお金を使わせようとする2つの事象を紹介する。

#1. 過度な露出と自己消耗


Journal of Personality and Social Psychologyに掲載された歴史的研究が、人は何らかの考えや物に繰り返し接触すると、それに対する姿勢がより好意的になることを指摘している。これは露出バイアスあるいは「単純接触効果」と呼ばれている。

マーケティング部門はこれを知っているので、ホリデー期間中に露出バイアスを利用して、消費者の中にニーズを作り出す。

たとえば、新しいスマートフォンが実際に必要であるかどうかに関わらず、新しくて良くなったスマートフォンの広告を繰り返し見せられると、消費者の内部に好意的感情が生まれ、購入する決断の引き金が引かれる。

さらにホリデーショッピングシーズンは、心理学者がいうところの「自己消耗」を促進する。これは、多すぎる情報に触れたときに生まれる被暗示性状態の1つだ。

自己消耗の状態になると自覚のある、よく考え抜かれた買い物をする能力が損なわれる。人は抵抗の最も少ない道をたどる傾向があり、得てしてそれは「最高(the best)」であるとして売られている高価なものにお金を使う結果になることを意味している。

露出バイアスや自己消耗から自らを守る手っ取り早い方法は、もし広告されているその商品を買わなかったら何が起きるかを自分に問いかけてみることだ。

・買わないとあなたの生活の質は損なわれるか?
・これを買わずに節約したお金でどんなことができるか?
・広告の品と同じくらい役に立つ代わりの商品を安く買うことはできないか?
・この商品を買うのにもっと適したタイミングはないか?
・今ショッピングカートに入っている8つの商品の代わりに、1つだけ買うのはどうか?

そうすることによって、あなたの購入決定はより注意深くなり、あなたのメンタルヘルスと銀行口座は感謝そのことにするだろう。
次ページ > バンドワゴン効果

翻訳=高橋信夫

ForbesBrandVoice

人気記事