ホリデーセールが人間関係の問題や鬱も引き起しかねない理由

休日が買い物の衝動を駆り立てる理由を科学が暴く(Getty Images)


#2. バンドワゴン効果


バンドワゴンというのは行列の先頭を走る楽隊車のことで、バンドワゴン効果は、他人がそうしているという理由だけで何かをしたり信じたりする傾向にある時に起きる心理現象だ。この社会規範に沿おうとする欲求は、人間性の本質に深く根づいている。それは、私たちが統一された社会の中で機能することを可能にしている要因の一部分でもある。

Current Issues in Personality Psychologyに掲載されたある研究は、人はセレブがその商品を推奨している広告を見ると、高級品を購入し、そのロゴを見せびらかす傾向が強いことを明らかにした。幸せそうな人や成功した人が高級品を使っているのを見ると、その商品に対する欲求は高まる。

マーケティングチームはこの基本的な人間の傾向を利用して、もっと買い物をすれば家族の絆が高まり、みんながもっと幸せになるというメッセージをホリデーシーズンに送りつける。休日期間の広告に、幸せな家族が高価なものをプレゼントし合う場面がよく出てくるのはこれが理由だ。

別の研究は、楽しいことを逃すことへの恐怖(fear of missing out、FOMO)も人々の購入決定の重要な要因であると指摘する。FOMOの度合いの強い人は、高級品を他の人が買ったのを見ると自分も買うという考えに陥りやすい。

ホリデーショッピングのバンドワゴンに連れ去られないためにできることを、いくつか紹介する。

購入決定には時間をかける。バンドワゴン効果は自己消耗を経験している人にきわめて多く見られる。疲れている時、打ちのめされた時、あるいは不安な状態の時は、購入決定を下すのを避けるべきだ。24時間待って、十分な情報に基づく判断を下してから、戻ってくること。

メリット・デメリットのリストを作る。時として、ある製品がなぜ良いか悪いかを書き出してみることで、自分が何を本当に必要としているかの新たな洞察を得られることがある。その商品が今すぐ必要なものではなく、そのお金を別のところで有効に使えることに気づくかもしれない。

気になる商品についてバンドワゴン効果の起源を調べてみる。もしある商品が本当に人の生活に価値をもたらすのであれば、自分でそれに気づくはずだ。もしある商品が、セレブやプロのインフルエンサーによって推奨されていたなら、あなたが本当に必要としていない可能性が十分にある。

結論


ホリデーショッピングシーズンは、浪費癖に悩む人たちにとって辛い時期だ。充実した購入決定をするための第一歩は、自分が必ずしも自由意志で行動していないということ、ホリデー期間は特にそうであると理解することだ。一度、これを受け入れたなら、後は自分の合理性の中の欠陥に対処するだけだ。不注意な浪費癖を克服するために助けが必要なら、メンタルヘルス(精神医療)の専門家に相談するのは常に良い方法だ。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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