メンタリングは、従業員の帰属意識と全体的な仕事への満足度を強化することができる強力なキャリア開発ツールとして長い間認識されており、特に女性や有色人種にとって有意義であることが示されている。一般的にメンタリングの価値は認められているが、強力なメンタリングプログラムを実際に作り、維持することは、多くの企業にとって難しいことがわかっている。特に、対面での交流が希薄になったパンデミック時はなおさら難しい。
メンタリングプログラムは、それがどんなに良い目的を持っていても、現実的な配慮や障害が原因で挫折したり、失敗したりすることがよくある。中でもよくあるのが、1. メンターとメンティーの相性を見極めること、2. 運用プロセスを管理することという2つの課題だ。
ほとんどのメンタリングプログラムが手作業で作成、管理されていることが、この2つの課題の根底にあることが多い。手作業によるマッチングプロセスでは、メンタリングプログラムが「運任せ」になりかねない。さらに、いったんメンター関係が構築されると、それを解消するまでに非常に長い時間がかかり、メンターとメンティーの双方に気まずい状況が生じるというデメリットがある。さらに、手作業で一連のプロセスを管理することは問題を悪化させ、社員は数カ月、いや数年のキャリアサポートの可能性を逃すことにもなりかねない。
一方、リーダーたちも自分たちの努力が無駄になっていると感じることになりかねない。しかし、社員が自分のキャリアのさまざまな側面をサポートしてくれる多様なメンターを利用することが、社員にとって有益なことなので、たとえメンターとメンティーの相性が良くても、1対1の関係にフォーカスしたメンタリングプログラムでは、その価値が限定的になってしまうことがあるのだ。