元F1ドライバー片山右京が「ツール・ド・フランス」を目指す理由


でも、自転車が皆さんから必要とされたり、役に立っていなければ、そうはならないですよね。そのためには選手の強化だけではなく、やらなければならないことがたくさんある。

環境整備や社会貢献、そして政治的なこと等も全部含めて、JCLが変えていかなきゃ、というくらいの想いで取り組んでいます。スポーツで世界を目指すということは、そういう活動も含めてのことだと思うんです。


東京2020大会にて。写真中央はJCL TEAM UKYO総監督に就任した橋本聖子氏

世界で広がる「自転車の可能性」


これからは自転車の時代。脱炭素やSDGsへの取り組みが求められ、地域活性化、ウェルビーイング向上の重要性が高まる中、皆さんと一緒にこういった色々なことを実現していけると確信しています。

世界に目を向けてみても、例えばパリ市では、2026年までに「100%自転車で移動できる街」を目指すと言っています。自転車専用道路や専用車線、駐輪場などのインフラ整備に2億5000万ユーロ(約360億円)を投資すると。フランスだけでなく、デンマークやオランダ、スペイン等々、自転車環境の整備は世界的な潮流と言えます。地球環境にも、健康にも、お財布にも優しい訳ですから。

日本でも、一足飛びにはいきませんが、JCL発足一年目から様々な活動に取り組んでいます。9月にはプロ自転車ロードレースとして日本で初めて、コースの一部に「自動車専用道路」を全面通行止めして使用した大会を、高知県宿毛市で開催しました。もちろんこれは、国土交通省、警察、そして地元の皆さんの協力のもと、実現できたことです。

JCL公式戦高知大会

また、11月23日には東京2020大会のレガシーイベント「GRAND CYCLE TOKYO」で、レインボーブリッジや東京港海の森トンネルなど、普段自転車では走れない東京のランドマークを走行するライドイベントを開催しました。東京オリパラの自転車競技でスポーツマネージャー(競技運営責任者)を務めたこともあり、このイベントにも実行委員長として携わりました。あいにくのお天気でしたが、参加者の皆さんには貴重な機会を楽しんでいただくことができました。

GRAND CYCLE TOKYO
(c)東京都

来年にはこういった競技やイベントに加え、インフラ整備に関わる活動も予定しており、準備を進めています。

楽しくて、健康になって、社会経済活動も生む。自転車、自転車レースが皆さんから必要とされる存在になって、競技で世界を目指すこととリンクしていく。こういうことが歴史や文化を創っていって、いつかツール・ド・フランスで日本人がマイヨ・ジョーヌ(個人総合成績1位の選手に与えられる栄光の黄色のジャージ)を着る日が必ず来る。そう強く信じて、全力で取り組んでいます。

自転車に関わる方、スポーツがお好きな方、どうか皆さん、力を貸してください。ツール・ド・フランスを目指して来シーズンから始動する「JCL TEAM UKYO」を応援してください。

そして、一緒に楽しんでください! シャンゼリゼ通りで、シャンパンでともに乾杯する日を夢見て──。

連載:片山右京の “Road to Tour de France”

写真=ジャパンサイクルリーグ 編集=宇藤智子

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