ブロックチェーンがサーキュラリティ(循環性)を可能に
サーキュラー・エコノミーへの移行を実現するには、ループを結んで改善し、すべてのステークホルダーのためにループから価値を生み出すことが必要です。デジタルレベルでは、ループ内に存在するステークホルダーの間で、分散した様々なシステムや帳簿で製品情報を共有し、追跡することが必要です。
インドのアルミニウムメーカーであるノベリス社は、生産時のスクラップや消費者から返却された材料をリサイクルすることで、原材料の消費量と二酸化炭素排出量を大幅に削減しています。スマートコントラクトはすべてのアクター間でサプライチェーン上の取引を可能にし、例えば、二酸化炭素排出量(t-CO2)について、材料組成に関する機密情報を共有することなく取引を行うことができます。これにより、製品の原産地や真正性に対する顧客の信頼を高め、規制の遵守を確実なものにしています。
サプライチェーンモデリングのためのデジタルツイン
サプライチェーンにおけるリソースと製品の透明性およびトレーサビリティを確保するためには、エンドツーエンドのバリューチェーンネットワークのデジタル版である、デジタルツインが中心的な役割を担います。技術的には、AI(人工知能)がサポートする統合的な計画アプローチへの移行が必要です。このような「インサイドアウト」モデリングプロセスは、多くの場合、スコープ1および2の排出量、環境フットプリントから始まります。
次のステップでは、デジタルツインによって、生産と輸送のプロセスを高いレベルで精査し、排出量の測定値を特定の製品のカーボンフットプリントに割り当てることができるようになります。このようなモデルを念頭に、日本のJFEスチールは、製鋼工程の一次データを用いて製品のカーボンフットプリントを追跡・管理するR&Dイニシアチブを確立。2030年の二酸化炭素排出量30%削減という目標を達成するため、低炭素化技術に総額72億ドルを投資する計画です。
グリーン・コンピューティング
企業はテクノロジーの普及に伴って生じる、エネルギー需要の増加といった環境的な側面にも配慮する必要があります。環境への影響を抑える方法としては、グリーンデータセンター、グリーンクラウドテクノロジーサービス、テクノロジーコンポーネントの再利用などが挙げられます。
3番目の点について、グーグルはデータセンターのシステムコンポーネントをライフサイクルの最後にリサイクルして再利用しています。デジタルツインと意思決定インテリジェンスにより、サプライネットワークに材料が戻る逆の流れを予測し、スケジュールを立てることが可能になります。グーグルの再利用率は約23%に達し、転売されるコンポーネントは大幅に増加しています。
次のレベルのサステナビリティ実現に向けて、CEOが取り組むべきこと
デジタル化は、責任を持って活用されることで、真のサステナビリティの実現を大きく加速することができます。このサステナビリティ・プログラムをさらに効果的なものに変えるために必要となる、3つの方法を紹介します。