3. 水平につながり、協調しながら行動する
サステナビリティは単独で取り組むことができる課題ではありません。最高経営責任者(CEO)は、ビジネスによる社会的インパクトを創造し、テストし、拡大するために補完的な役割を果たすパートナーと共に、協調して取り組む必要があります。同時に、デジタル化は水平方向の現象として、産業における従来の垂直方向の境界を曖昧にしつつあります。
自動車、金属、鉱業は、持続可能なサプライチェーンの運営モデルへの移行において密接に関連しており、最終的なつながりは大規模な電気自動車生産です。自動車産業は2030年から2035年にかけてネットゼロという野心的な目標を掲げており、これを実現させるためには低炭素の部品や材料を調達する必要があります。
金属業界では、低炭素化あるいはゼロ炭素化のテクノロジーを活用して、鉄鋼やアルミニウムの生産・輸送プロセスを一新し、脱炭素化に向けて懸命に取り組んでいます。鉄鉱石やボーキサイトの供給者である鉱業界も、市場全体の使命に応えるために、同様に脱炭素化を進めなければなりません。
デジタル・プラットフォームは、企業や市場を超えて大規模に気候変動対策を実施するためのエコシステムを編成する、中心的な手段となっています。また、デジタルプロセスフローはセクターを超えた協力関係を可能にする重要な手段です。つまり、業界を超えたサステナブルな変化は、デジタルテクノロジーなしには不可能なのです。
今こそリーダーシップを重視する時
これらのイニシアチブを実行するには困難を伴いますが、すべてのステークホルダーにとって長期的な価値創造の機会を拡大させることに繋がるため、非常に有益なものとなるでしょう。今、地球規模課題の解決への貢献がますます求められていることを理解している最高経営責任者(CEO)は、これらのイニシアチブを取りやすい立場にあるといえます。
今こそリーダーシップの本質、つまり、より多くの夢を持ち、学び、行動し、コラボレーションを実現し、次世代のリーダーたちを育てることに焦点をあてる時です。そうすることにより生み出されるモメンタムは、サステナブルな未来へ向けて、私たちをより速く前進させてくれるでしょう。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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