テクノロジー

2022.11.10 10:30

飛行機に発電所、水素エコノミーの準備が整いつつある

燃料電池自動車と並ぶ水素ポンプ(Getty Images)

燃料電池自動車と並ぶ水素ポンプ(Getty Images)

専門家たちは水素を持続可能な航空燃料にすべく日夜努力している。米国では生産税控除と地域水素ハブへの資金投入が拡大され、水素に関する株は上昇している。その可能性は、脱炭素が困難な産業やすぐに電化のできない飛行機、列車、船および長距離トラックといった分野にかかっている。発電機も水素と天然ガスの混合燃料で動かすことができる。

「テクノロジーの進歩とコストの低下が起きつつあります。天然ガスの価格は現在の水素の価格よりも安価ですが、税優遇措置によって、経済は正しい方向へ動いています。風力やソーラーと同じように、水素エネルギーの価格は下がっていきます。ネットゼロ目標を達成するために、水素には果たす役割があります。化石燃料を排除する計画は、低価格で実行するべきです」と電力・ガス供給会社National Gridの水素部門責任者であるジュディス・ジャドソンはOur Energy Policy主催のウェビナーで話した。

グリーンな水素由来の維持可能な航空燃料への旅は長いフライトになるかもしれないが、15~20年のうちには離陸するだろう。デルタ航空を見てみよう。ルイジアナ州拠点のDG Fuelsは、 通常のジェット燃料よりライフサイクル温室効果ガス排出が75~85%低い航空燃料を、3.85億ガロン(約17億リットル)デルタ航空に供給している。

さまざまな形の再生可能エネルギーが、持続可能な航空燃料に使われている。たとえば食品廃棄物、動物の排泄物、下水汚泥などから作られる燃料は、ジェット燃料との混合が容易だ。米国エネルギー省は、石油由来のジェット燃料よりもカーボンフットプリントを165%少なくできると述べている。Clean SkyおよびFuel Cells & Hydrogen 2の研究によると、水素燃料動力の飛行機は、早ければ2035年に完成する可能性があるが、長距離飛行が実現可能になるのは2050年だろう。

アズール・ブラジル航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、ジェットブルー、KLMオランダ航空、ルフトハンザ航空、スカンジナビア航空、ユナイテッド航空、ヴァージン・オーストラリア航空、およびヴァージン・アトランティック航空は、すでに商用便にバイオ燃料を利用している。ジェットブルーは、ロサンゼルス国際空港のハブで持続可能な航空燃料を使用している。同社はWorld EnergyおよびWorld Fuel Servicesと提携して持続可能な航空燃料を調達している。

「当社の究極の目標は、2050年までに気候中立な航空事業を達成することです。この野望を現実に変えるためには、重要な新技術を幅広くシームレスに統合する必要があり、その1つが水素動力飛行機です」とClean Sky 2 共同事業の代表理事であるアクセル・クラインはいう。
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翻訳=高橋信夫

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