飛行機に発電所、水素エコノミーの準備が整いつつある

燃料電池自動車と並ぶ水素ポンプ(Getty Images)


燃料電池の普及も加速


National Gridのジャドソンは、電力会社である自社は水素燃料の企業バイヤーになるだろうと話す。そうすることで需要と供給のバランスが保たれ電力顧客の利益になる。水素を有機廃棄物由来の再生可能天然ガスと混合してガスタービンを駆動することが可能であり、既存の電線と変電所も利用できるとジャドソンはいう。

水素は燃料電池で電力を作るためにも使える。水素を酸素から分離する化学プロセスを利用する。排出物は水蒸気だけだ。たとえば、バッテリーに貯められたソーラー電力を電解槽に流すことで純粋な水素ガスを作れる。ソーラーのコストは過去10年間で85%下がっているため、現在の焦点は電解槽の規模を商業化することだ。

水素は既存の天然ガスのタービンや輸送するパイプラインに直接注入することが可能だが、混合比率はわずか20%だ。ユタ州のIntermountain Power Projectは、石炭発電を複合ハイクル天然ガス発電に切り替え、高純度のグリーン水素を生成してロサンゼルスに送っている。

現在全米でおよそ550メガワットの燃料電池が設置されているとFuel Cell & Hydrogen Energy Associationのコナー・ドーラン広報担当副社長はいう。利用者は、データセンターや病院など一瞬たりとも電力を失うことが許されない重要施設だ。Microsoft(マイクロソフト)は自社の新たなデータセンターを水素電力でまかなっている。そのためのコストは高いが、いずれ値段は下がっていく。

水素ハブは、商業的規模の実現には不可欠だ。「エネルギーコストを同等化して普及を促進する手助けになるでしょう」とドーランがウェブナーで話した。「水素が米国から輸出される日が来るでしょう。膨大な量の国内生産が期待されるので、余剰分を世界中に輸送するのです」

飛行機、列車、自動車も続いている。ホンダ、Hyndai(ヒョンデ)、トヨタは燃料電池自動車を作っている。Federal Express(フェデラルエクスプレス)はニューヨーク州で240キロメートル以内の配送に燃料電池トラックを使っている。そして2万台以上の水素駆動フォークリフトがすでに稼働中で、Walmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)などの企業が利用している。

土台はでき上がり、公共政策も整い、生まれつつある水素経済にロケット燃料を注入している。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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