「グリーンおよびデジタル移行を可能にし、新欧州イノベーションアジェンダに沿った革新の新しい波を活用するためには、ディープテックの人材を育成し、引きつけ、確保することが重要です」と、欧州委員会のマリヤ・ガブリエル革新・研究・文化・教育・青年担当委員は述べた。
デジタル化の10年間
高度なスキルへの注目は、特に新しいものではない。実際、EUにはいわゆるデジタルディケイド(デジタル化の10年間)イニシアチブがあり「人間を中心とした持続可能でより豊かな未来に向けて、企業と人々に力を与える」ことを目指している。
2021年に発足したこのイニシアチブは、4つの軸にまたがる野心的な目標を掲げており、最後の軸はデジタルスキルの成長に関わるもので、理に適っているものが多い。結局のところデベロッパー、サイバーセキュリティの専門家、データサイエンティストなどの不足を嘆かない日はない。ウルスラ・フォン・デア・ライエンが「ヨーロピアンイヤーオブスキル」と期待するように、ヨーロッパの競争力と生産性を高める最先端の技能に注目することは、確かに理に適っているだろう。
最先端の技能は間違いなく必要であるが、同様に大きな影響を与えることができるもう少し初歩的な改善もある。実際、Centre for Economic and Business Research(CEBR)の経済モデルでは、ごく基本的なデジタルスキルを向上させることで、毎年170万人が仕事を見つけられるだけでなく、英国経済に約453億ポンド(約7兆5000億円)を追加できると論じている。
富の拡散
そして当然といえば当然だが、この調査ではこのようなスキルアップは、従来から社会のデジタル化の恩恵を多く受けてきたロンドンなどの地域以外の地域にも、多くの利益をもたらすだろうと示唆している。実際、研究者たちは、80%以上の恩恵が首都圏以外の地域にもたらされると考えている。