今回コンゴ民主共和国で発見されたサル痘ウイルスの変種株は、世界的に流行しているウイルスとは異なるものだ。痛みをともなう発疹を引き起こすこともあるが、死に至ることはほとんどない世界的流行の原因となっている株は、 「Clade II(クレード2)」 という名で知られる西アフリカで見つかったサル痘ウイルスの子孫だ。通常Clade IIは、致死率が3%未満で、現在コンゴ民主共和国で見られるClade I(クレード1)と比較してより軽度の病態を示す。これに対してClade Iの致死率は最大10%におよび、サル痘にともなう重篤な合併症(失明など)を引き起こす可能性が高くなる。
世界のサル痘の患者数は減少傾向にあるが、アフリカの一部では依然としてウイルスによる被害が発生している。監視体制は比較的貧弱で、資源も乏しいため、ウイルスと闘い、その蔓延を抑えるための努力が阻害されている。「サル痘がDRCでさらなる大流行を引き起こし、より大きな世界的問題となるのを防ぐ最善の方法は、現在明らかに最も苦しんでいる地域により多くの注意を向けることです」 とチャーニガ博士は語る。
CDCのデータによれば、今年、世界100カ所以上で、これまでに7万7573件のサル痘の症例が報告されている。歴史的にサル痘の感染が報告されてきた地域では、これらの感染は1000件未満にとどまっている。38人がサル痘に関連して死亡しており、そのうち13人は歴史的に発生が報告されている地域だった。アフリカの一部では、サル痘による患者、病気、死亡は記録に残らない可能性が高い。
参考文献
An Advocate For Africa(アフリカの代弁者)(サイエンス)
In Africa’s monkeypox outbreak, sickness and death go undetected(アフリカでサル痘が流行、病気や死亡は記録されず、ロイター)
(forbes.com 原文)