経済・社会

2022.06.16 10:00

「サル痘」の名称、WHOが変更を検討 差別的との批判受け

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世界保健機関(WHO)は6月14日、世界各地で感染者が増加している「サル痘」ウイルスとその2つの株の名称、このウイルスが引き起こす疾患の名称について、変更を検討していることを明らかにした。

サル痘感染者は5月以降、欧米を中心とする20カ国以上で確認されており、その数は1000人を超えている。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、アフリカをはじめ各国の研究者およそ30人からなるグループが、これらの名称について「本質的に“差別的”」であり、「烙印を押すような」ものだと指摘したことを受け、変更に向けて協議を開始したと発表。できるだけ早期に新名称を発表する予定だと述べている。

また、WHOの広報担当者は、名称変更のプロセスは「マイナスの影響を最小限に抑えるため」のものであり、名称は文化、社会、国、地域、職業、民族に基づくいずれのグループにも不快感を与えないものであるべきだと説明している。

呼称に「数字」を提案


WHOは現在、サル痘を「西アフリカ系統群」と「中央アフリカ(コンゴ盆地)系統群」の2つの株に分類している。名称変更の必要性を訴えている研究者らは、ウイルスに「アフリカ」という地域名を付けることは「的確でないだけでなく、差別的だ」と主張している。

研究者らは、メディアがこの名称を使って報じることによって、現在起きている感染者の増加がアフリカに関連したものだと説明することになると懸念。また、流行は主に北半球の先進国で起きているにもかかわらず、メディアが記事とともにアフリカ人患者の写真を掲載していることも指摘している。

ナイジェリア・エデにあるリディーマーズ大学の関連機関、アフリカ感染症ゲノミクス中核的研究拠点(ACEGID)のクリスチャン・ハッピ所長はこれらについて、医療系ニュースサイト「スタット」のインタビューで、「非常に人種差別的だ」と述べている。

ハッピ所長らのグループはWHOに対し、このウイルスの株に「アフリカ」という地域名ではなく数字を使用することを提案している。WHOは新型コロナウイルスの変異株についても、当初は最初に検出された国名を名称にしていたものの、差別を生まないためとして、ギリシャ語のアルファベットを順番に名称としていくことを決定した。
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編集=木内涼子

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