会議を変えるiPadの新機能、アップルが提案する次世代の共同作業

「iPadだけでも仕事ができる」環境を構築してきた筆者が感じた新iPadOS 16の可能性

2010年にiPadが登場してから、12年が経った。私は初代から使いつづける筋金入りのiPadユーザーだ。手に入れてから現在まで、私なりに「iPadだけでも仕事ができる」環境を構築してきた。

今回、アップルがアメリカ・クパチーノで開催したWWDC22で、新しいiPadOS 16が発表され、数多くの新機能が紹介された。その中から「これがあれば仕事が捗る」と機能を、いくつかピックアップして紹介していこう。

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無限に広がるオンラインのホワイトボード


英語で「Freeform」、日本語では「共同作業アプリ」と呼ばれるこの新機能は、iPadユーザー同士がオンラインでキャンバスを共有、リアルタイムで同時編集ができるというもの。

2020年から続くコロナ禍で、テレワークを体験している人は多いだろう。現在、出社率が高まる傾向にはあるが、遠方の顧客や離れた場所にある支社間とのオンライン会議は定着しつつあるようだ。

オンラインミーティングをする場合など、資料を画面共有して進めることが多いが、ここに「会議室のようなホワイトボードがあればいいのに」と思ったことはないだろうか。

特に、ブリーフィングやチームや社内で企画を考えるときなど、これまでと同じく顔を突き合わせて、ホワイトボードにいろいろと書き込みをしながらアイデアや企画を膨らませていければベストだろう。しかし、リモートワークだとなかなか同じように進めることができない。そんな状況を解決するのが、このアプリケーションだ。

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アプリ内にキャンバスを作成し、参加者はそれぞれテキストやコメントを書き込んでいく。そうすると、共有する全員のアプリにその内容がリアルタイムで反映される。iPad上に広がる「デジタルホワイトボード」のようなもので、書き込む場所にサイズ的な制限はない。この共同作業は、FaceTimeで繋がり、会話をしながら進めることができる。作成したデータはクラウド上に保存され、いつでも再編集や追記が可能だ。もちろんFaceTimeでの会話が終わった後でも、見直したり、アイデアを追加できる。

これまでもこのようなオンライン共有できるiPad用ボードアプリはいくつも配信しており、私もいくつか試してきた。Zoomにも、ホワイトボード機能がある。しかし、オンラインミーティングが終わった後は、画像として保存することしかできず、再編集することはできない。これらアプリはあくまでも一時的なもので、続きがあるような会議で使うには不便なところもあった。

また、iPadの共同作業アプリとほとんど同じ機能のサービスも存在しているが、利用前にアプリのダウンロードや会員登録が求められるため、参加者にも使ってほしいと思っても壁が高いという状況もある。

共同作業アプリは、次期iPadOS 16をインストールしたiPadがあれば誰でも使えて、メッセンジャーなどを介してすぐ共有できる。iPadがあればいいというこの手軽さは、アップル純正アプリだからこそのものであり、非常に魅力的な新機能だろう。会議の参加者にデジタルなものが苦手な人がいても問題ない。
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文=弓月ひろみ 編集=安井克至

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