「3DコンテンツはVR空間で作る」急増する3D需要に応えるアドビ

Substance 3D ModelerはVRヘッドセット「Quest Pro」にも対応している


プロダクトデザインも3Dで行われる時代に


メタバースの世界を構築するために3Dコンテンツへの需要が高まっているが、その他の場でも3D技術は活用されている。

例えばゲームや映画。これは想像しやすいのではないだろうか。Substance 3Dは2019年にアドビが買収したAllegorithmicのツールでゲームや映画のSFXで利用されてきた。世界中にクライアントが存在するが、日本のゲーム企業はアドビにとっても重要だという。よりリアルな3Dゲームや映画も今後、需要は高まっていくだろう。

そして現在、3Dの技術はプロダクトデザインでも使われている。2020年から始まるコロナ禍で人の動きは制限されてきた。物流も滞りがちになり、製品開発もこれまでのようにできなくなった。さらに実店舗に足を運ぶ機会も減り、ますますオンラインで買い物をすることが増えている。

3Dでのプロダクトデザインは、そんな状況下で力を発揮する。

モデリング、テクスチャリング、レンダリングするだけで新製品のイメージを3Dで作ることができる。進化した3Dモデルは、すでに実物を撮影した写真と比べても見分けがつかないレベルにあり、3Dモデルだけで開発を進めることも可能だ。従来であればプロトタイプを工場に依頼し、その到着を待つ必要があったが、3Dモデルなら完成品のイメージをその場で確認できるためその必要もない。さらに3Dであれば簡単にカラーやテクスチャー違いのバリエーションも作り出せる。時間短縮するだけでなく、費用そして二酸化炭素の排出量も減らすことができるのだ。


プロダクトのデザインだけでなく、販売やマーケティングで必要な写真も簡単に用意できる

また、商品のマーケティング、販売には写真が必要となるが、3Dモデルであれば撮影も不要。欲しいカットを書き出すだけでいい。撮影時間も費用も必要ない。さらに撮影用商品の到着を待たなくてよいため、販売までの期間も短縮できるし、3Dモデルは情報量が多く、商品選びの参考になるが、商品紹介ページでこの3Dモデルが確認できるのは、企業にとっても消費者にとっても大きな魅力だろう。

さまざまな時間と費用を短縮できるなどメリットが多い3Dでのプロダクトデザインは、コロナ禍後でもモノづくりの主流となるはずだ。
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文=安井克至

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