企業のオウンドメディアで重要視すべき指標は?
オウンドメディアの役割や目的をどこに置くかによって、成果は大きく異なるが、多くのオウンドメディアはコンバージョンを見据えた“集客=PV”に指標を置いている。成井氏が考えるオウンドメディアの重要視すべき指標は、フェーズによって異なるという。
「ローンチ一年目は集客に振り切ります。とにかく一年目は、まずは見つけてもらうための施策にパワーを注ぐことが大切で、そのためにSEO記事の制作に集中します。ある程度集客ができてくる二年目からはコンバージョン率や回遊率、訪問率、再訪問率など、ブランド認知拡大の施策に移行していくとよいと思います」(成井氏)
また、情報伝搬設計においては「オウンドメディアで作った記事の二次活用をすることが有効」だと話す。昨今はInstagramも画像にもテキストで情報を詰め込んで発信するものが増えたが、そのテキストの情報源は元記事にある。作ったコンテンツは各SNSのプラットフォームにカスタマイズして有効活用すると少ないコストで最大限のパフォーマンスを発揮することができる。
その際のKPIとして成井氏は次のように話す。
「SNSではフォロワー数をKPIに置くオウンドメディアも少なくないですが、昨今はアカウント単位より投稿単位でアクションが発生するもの。例えば保存数やいいね数など投稿を見たアクションが多いのであれば、ブランドを認知してもらえたことにはなるので、必ずしもフォロワー数が全てではありませんよね。そのようなアクション自体をKPIとしてみてもいいのかもしれません」(成井氏)
オウンドメディアの目的を明確にしないと、費用対効果をシビアに見られてクローズへの一途を辿ることになる。まずはどんな目的で、そのために何を指標に掲げるのか、オウンドメディア担当者は今一度振り返る必要がありそうだ。
オウンドメディア担当者へ伝えたいこと
奇をてらった施策で差別化を図ろうとするのではなく、自社愛を持った人員で集客設計から地道にグロースしていくことが重要なオウンドメディア。成井氏は次のようにアドバイスする。
「まずは集客戦略、トレンド、オリジナリティの3つを押さえて運用すれば右肩上がりに伸びていきます。その上でオウンドメディアを楽しんで運営いただきたい。その楽しさはユーザーに伝搬します。それと、読み手の読みたいものと企業の主張のマッチングが大事。企業では当たり前だと思っていた点が、ユーザーにとって必要なこともあるので、第三者視点も忘れないでください」と成井氏。