マネー

2022.10.18 09:00

2010年頃のビットコインは「暗号好きのコアな世界」。初期ビットコイナーに聞く


──インフレヘッジや投資の対象などというよりはただひたすら楽しくてマイニングされていたのですね。


はい、ビットコインの存在意義を深く考えるというより、価格がついて徐々に上昇しているものを掘れるという楽しさが優先してました。他のマイナーもそんな感じだと思います。

この頃は大きな可能性を感じていましたが、価格が数万円に高騰する確信さえ持ってなかったです。私がビットコインの凄さを本当に感じたのは2013年のキプロス・ショックで価格が4000円を超えたあたりからです。

キプロスで金融危機が起こり、預金封鎖が実施され、避難通貨としてビットコインが人気化し大きなニュースになりました。この時は将来、基軸通貨のような存在になりえるのかなと思い始めました。

ビットコインに興味を持てたのは仕組みに気付けたから


──sugumatuさん以外でも当時ビットコインを知っていて投資できなかった方もいると思います。なぜsugumatuさんはそのような方々と違い、ビットコインの可能性に気づけた、投資できたと思いますか。

私は子供のころから世の中を変えるようなビジネスや仕組み、投資に非常に興味を持っています。

会社員時代はハードディスクの情報を読み書きする磁気ヘッドというものがあるのですが、その磁気ヘッドを製造するのに必要なダイヤモンドスラリーを製造する会社に所属してました。ダイヤモンドスラリーはハードディスクの記憶密度向上の為に不可欠な加工液です。私自身は仕事上、デバイスやPC、Webの新技術や動向をいち早く知る必要がありました。

また、インターネットの世界でも古くはOsCommerce、Opencart、XOOPS等のオープンソース開発にも参加してました。OsCommerceとOpencartは本格的多言語・多通貨対応のECサイト構築システムで私が決済について興味を持つきっかけになったものです。

XOOPSはコミュニティサイトを構築するソフトウェアです。プログラミングは小学校時代、父親がパソコンを買った時から少しづつ勉強を始めていました。オープンソースというものを知ってからは独学ですが、真剣に勉強し、ある程度のサイトは作れるようになりました。

──独立を検討されていたのですね。

はい、独立も考えていたので、ほぼ毎日、会社の帰りに本屋に寄って投資やビジネスに役立ちそうな本を探し、新しい技術やビジネス情報も仕入れていました。2008年に独立してからはベンチャー企業の情報を紹介しているTechCrunchというサイトを毎日読んでコメントをつけていました。2011年の日本で最初のビットコイン記事にもマイニングについてのコメントをつけています。

ビットコイン創世記初期にタイミングよく独立し、開発パートナーと良い縁があり、ビジネスや投資について十分に考える時間があったというのも大きいと思います。開発パートナーからビットコインを聞いた時も怪しいと感じたけれども、仕組みが気になって最終的によく調べたのも良かったのかなと思います。調べ始めると徹夜もいとわない性格です。
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インタビュー・編集=内田 誠也 協力=sugumatu

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