経済・社会

2022.10.16 15:00

一気に消費活動が噴出、第二次大戦後と似てきたコロナ後の米国の経済動向

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求人と失業率だが、コロナ禍で給付金受給を受けていた人たちには働く意欲がなく、人手不足が起こった。これにより賃金が低いサービス業からも賃金の上昇が起こり、インフレを押し上げている。
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9月の雇用統計は失業率も3.5%と40年ぶりの水準まで予想以上に低下し、雇用者数は約26万5000人と増加したが、8月の雇用動向調査(JOLT)では2020年4月以来の前月比大幅減少を見せており、求人に陰りも現れてきている。

第二次大戦後の1945年、それまで抑えていた消費活動が一気に噴き出してインフレが起こった。戦中から通貨供給量は増加しており、過剰な流動性、信用拡大も伴い「金融緩和」状態であった。耐久消費財の生産が抑制されていても貯蓄率は上昇し、消費需要のマグマはたまる一方だった。

戦争が終わると、これまでの反動でそのマグマは冷蔵庫、自動車、ラジオなどの消費、不動産需要へと爆発的に向かった。しかし急には耐久消費財生産の供給が追い付かず供給不足から物価の上昇をく。そのため、1946年6月にはCPI(消費者物価指数)は3.1%にとどまっていたが、インフレスパイラルは続き、1947年3月には20.1%となった。
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コロナ禍からの回復期の現在、イベントやフェアなども活発に再開し、人々の活動意欲が同様に噴き出している。消費が何に向かうかは異なるだろうが、現在の人々のエネルギーの発散ぶりをみていると、反動消費需要もいうべき点は非常によく似ている。

どちらも、数年にわたって抑制されてきた活動意欲が鬱憤を晴らすように噴き出した点は共通しているように見える。現在、レストランやバーなどの飲食店での雇用者数が伸び、航空機やクルーズ船などによるレジャー旅行関連が伸びていることにも表れている。

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ようやくインフレの実感も出てきた日本からすると、物価、賃貸、賃金がスルスルと上がってきているアメリカのスピード感は想像以上かもしれない。しかし「景気後退をしてでもいいからインフレにブレーキをかけたい」というFRB(連邦準備制度理事会)と市場がせめぎ合っている。

現在のアメリカ経済界には「悪いニュースは良いニュース」という言い方がある。それは、物価が下がるとか、雇用者数が減ったとか、住宅価格が下落してきたとか「悪いニュース」が出ると、FRBは金利の引き上げを緩めるのではないかと推測がなされ、株式市場にとっては、それは「良いニュース」として株価が上がるプラスの材料と受け取られるからだ。いまアメリカはそのように推移しているステージにあると言ってもよいかもしれない。

連載:ポスト・コロナのニューヨークから
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文=高橋愛一郎

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