マーク・テイタム副コミッショナー
八村塁に続け 日本人選手の価値を最大化
八村の言葉にも表されるよう、マーク・テイタム副コミッショナーは日本戦略について「(地元の)スター選手のストーリーが不可欠であり、それをもっと伝えていく必要があります。今回の八村塁の(NBA選手としての)初来日ももちろんそのひとつです。また渡邊(雄太)がブルックリン・ネッツと契約、ジェイコブス晶もNBAグローバル・アカデミーとサインしたばかりです。こうした日本人選手の活躍するストーリーをさらに発信し、ローカル(日本市場)にアピールしていく」と日本出身選手の価値を最大化する方針を明かした。
ジェイコブスは身長2メートルのシューティングガード/スモールフォワード。22年初頭同アカデミーのトライアウトに参加、7月には「NBAアカデミー・ゲームズ」出場に向け渡米、アカデミーの全日程に参加する日本人初のプレーヤーとなった。ジェイコブスは今後、オーストラリア体育協会(AIS)のバスケットボール・オーストラリア・センター・オブ・エクセレンスで行われているエリート向けトレーニング・プログラムに参加する。いわば「次のNBA選手」にもっとも近い立場を獲得した形だ。
また、富山の奥田中学校で八村の先輩にあたる馬場雄大もNBAの下部組織Gリーグでプレー中。日本のNBA選手が続々と誕生することになれば、副コミッショナーの戦略もより容易に具現化されることだろう。
日本開催、ビジネス面でも成功 その一方で
そのモチベーションとなるビジネス面での成功は、NBAを後押しする大きな要因だ。今回のNBAジャパン・ゲームズには、楽天、日産自動車を始め15社のスポンサーが決まり、試合以外のプログラムにおいても19社が協賛。シェイク・マネージング・ディレクターも「アジア太平洋地域で、特に草の根運動を中心としてプログラムを推進し、こうしたパートナーシップを広げて行きたい」と意欲を示した。
だが、NBAのプレーオフ・ゲームを目にしたことがあるファンなら、そのレベルの高さをご存知だろう。プレーオフでの選手は、レギュラー・シーズンでさえもが「三味線を弾いていたのではないか」と思わせるほどの集中力を発揮する。すると、プレシーズンのプレーなどは、しょせん「調整」。それを象徴するかのように、NBAファイナルズMVP、ウォリアーズのエース、ステフィン・カリーは日本での初戦、わずか13分の出場に留まり、以降ベンチからも退いた。
シーズンに向けまだ身体が仕上がっていないと考えたのか退いた後、試合中にもかからず、記者会見場手間の階段下で上半身はだかのまま、真剣に縄跳びに取り組み、汗を流していた。こうした光景は、もちろんレギュラー・シーズンではありえない。