大谷はこれで、またも野球に一つの歴史を作ったことになる。2023年シーズンの終了後にフリーエージェント(FA)となる大谷には、今オフに年俸調停の申請権が与えられる。この権利を持つ選手と球団が結ぶ契約で、3000万ドルは史上最高額だ。
スポーツ選手の契約条件や成績などの情報を公開するサイト、スポトラック(Spotrac)によると、大谷がMLBへの移籍後、これまでの5年間で得た収入は、総額およそ1230万ドルとなっている。
調停を回避して合意したエンゼルスとの契約延長により、大谷は「最も稼ぐMLB選手」のトップに迫る位置につけた。選手としての収入だけをみれば、来季も他の15人が大谷以上の年俸で契約する見込みだが、世界的スーパースターとなった大谷はフィールドの外で、それらの選手たちの大半を大きく上回る成功を収めている。
フォーブスの推計では、大谷の今年のフィールド外での収入は、野球選手としては最高額の約2000万ドル(税金、エージェント手数料込み)。MLBの選手で大谷の次にプレー以外での収入が多いのは、推定650万ドルを稼いでいるフィラデルフィア・フィリーズのブライス・ハーパーだ。
ルックスの良さとカリスマ性、そして人好きのする態度で、大谷は太平洋の両側で成功を収めている。日本ではアシックス、デサント、ヒューゴボス、米国ではスポーツチームのライセンスグッズを手掛けるファナティクスや、スポーツカードなどの開発・販売を行うトップスやパニーニなど、15社とスポンサー契約を結ぶ。
昨年は新たに、暗号資産取引所のFTXや興和(バンテリンコーワ)、三菱UFJ銀行、セールスフォース・ドットコムと契約。さらに、ソニーのビデオゲーム「MLB The Show 22」の表紙も飾っている。
ランキングも「圏外」から上位に
フォーブスが今年発表したMLB選手の収入ランキングでは、約5930万ドル(約85億9000万円)を稼いだニューヨーク・メッツのエース、マックス・シャーザーが1位だった。予想される大谷の来年の年俸5000万ドルは、今年のランキングであれば2位の金額だ。
今年は大谷のチームメイト、エンゼルスのマイク・トラウトがフィールド内外で合わせて約3900万ドルを稼ぎ、2位となっていた。年俸およそ550万ドル、総収入が約2550万ドルだった大谷は、ランク外だった。
「二刀流」で活躍する大谷は、2018年にMLBに移籍して以来、ベーブ・ルースと比較されてきた。昨年と今年は2年連続で投手と打者の両方でオールスターゲームに出場。昨年はアメリカン・リーグの最優秀選手(MVP)を受賞している。また、9月にはMLB史上初めて、1シーズンに10勝と30本塁打を同時に達成するという偉業を成し遂げた。
来シーズンも好調な成績を残し、そしてエンゼルスとは再契約をしないとすれば、大谷はほぼ間違いなく、史上最も引く手あまたの、そして最も“高額な”選手の一人として、FAになるはずだ。
(forbes.com 原文)